under one umbrella

2005年04月21日(木) とか?



あなたに背を向けて目を閉じる。
背中に感じる体温が、温かくて心地良い。
別に何か不満だったわけではなくて、
ただその体勢が楽だっただけ。

しばらくして、
追いかけるように寺島が後ろから来る。
更に温かくなって、そして安心する。
最近、こんなことが増えた。



きっと前だったら泣けていたのだ。
幸せだからじゃなく、何かが悲しくて。
だけど今のあたしは。
疑わなくていい幸せの中にいて。





信じない、信じられない、
というのはただの保身だ。
事実に惑わされず信じぬく。
それが愛だ。


そんな、本の中のセリフが、
かなりわかってしまう自分ってどうだろうか、とか、
考えてしまったけれど。


もう既にあたしは、
信じられないと言いつつ信じてしまう沼に、
とっぷり浸かっている気がする。



心が決めるのだ。
寺島を信じる、と。






何を信じているのか、自分でもよくはわからないし、
かろうじて言葉に出来るのは、
今まで一緒にいた時間とか、
寺島の態度とか?



寺島の背は明らかに伸びて、
抱き締めてもらうと、すっぽりとあたしの顔が埋まる。
高校生の頃はこの辺りだったよ、と、
寺島が首の辺りを手で示して笑って。
「それだけ長く一緒にいるのね」
と、弱弱しくもあたしは声に出せた。



怖かったんだ。
あの日のように、過去を否定されるのが。
寺島は、聞こえなかったのか、何も言わなかった。




でももうあたしは怖がらない。
陽ちゃんは、否定なんかしない。
忘れてもない。


うん。
大丈夫。







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