「愛してる」という言葉ほど、 信用できない言葉はなかったの。
1ヶ月ほど前。 いつものメンバーで、あたしの家で飲んで。 そのうち父が帰ってきたので、 ファミレスに移動した。
何しろ酔っ払ってるので、 皆眠そうで、 結構低めのテンションのままうだうだとしていた。
竜崎君が、こそこそっと隣の藤原に耳打ちをして、 藤原が、 「そりゃありえんでしょう」 と笑った。 何を言ったのかすっごく気になるーと笑ったら、 寺島も同じように、 隣のあたしに耳打ちしてきた。 『愛してる』
またそんなこと言って、とあたしは流したけれど、 後で、すごく寂しくなった。
そのセリフを、寺島が本気で言うはずないから。 きっと嘘で。 でもそれはあたしが、嘘だとわかると寺島が知っているからこそ吐く嘘で。
だってもしあたしが本気でとったなら、 後でうるさくなる。 それは嫌だろうに、何で言ったのかってこと。
だからあたしは。そう解釈して。 その場は流して。1人で泣いた。 「愛してる」という大事なセリフが、当然のごとく嘘になる。 そんなの、寂しすぎる。
あたし、擦れすぎ?
一昨日の電話で。 あたしは、そのことを初めて寺島に話した。 あのときほろ酔いだった寺島は、覚えてなくて、 それも少し寂しかったけど、 寺島は言ってくれた。 「嘘では…ないんだけど」
本当に?と聞く勇気は、まだあたしにはなくて、 急いで軽く否定した。 照れ隠しに近かった。
昨日一緒に過ごしたとき、 聞いてみたら、 「愛してるかはわかんないけど、 今空から槍が降ってきたら、守るよ」 だって。 槍?
信じられる、ということは。 とても、幸せなこと。
もうあたしは。 あなたの隣で孤独を感じることは、ないのかもね。
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