久しぶりの学校で、久しぶりに笑う。 けど何だかすっかり、 自分だけ異世界の住人のような気がして、可笑しい。
帰り、有田君と一緒に電車に乗って、 一緒の席に座ったけれど、 寺島と隣り合うほど、 ナチュラルな隙間じゃなかった。
早くも、小指の付け根にマメ発見。 まだそんなに痛いものじゃなくて、薄皮が剥けている程度だけど、 そのうち痛くなるのかな、とちょっと怖くなった。
明日は、ガットを張ってもらいに行こう。 なんて思ってる自分はとても不思議だし、 口に出してみると、笑えるくらいに可笑しかった。
9日、テニスの後、 寺島が、テニス雑誌を貸しに来てくれた。
その心遣いも、雑誌を読めることも、嬉しくて、 心から、 「ありがとう」 と笑えた気がする。 あんな笑顔は、きっと、中学以来だ。
ここ何年ものあたしのそれは、 計算とか、猜疑心とか、悲しみとか、強がりとか、 混ざったものばかりだったから。
相変わらず、寺島のことばっかり考えてる1日。 何にも変哲がなくて。
そろそろ、謙虚になりましょう。 学校が異世界なのは、寺島の隣が当たり前になったから。 それはいけない傾向。
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