under one umbrella

2004年11月24日(水) とばした。


抱かれた後の気だるい体で、
重力に身を任すように坂を下る。
映画を見た後、流れるように、
寺島はあたしの部屋にいた。



何の言葉もなく、何の誘いもなく、
ただ、

「お父さん、何時に帰ってくる?」

という質問と、その答えだけで。
部屋に来ることは決まっている。



会話上では、何も決めていないのに、
進む道が何故かあたしの家の方向であったり、
寺島があたしの家の前に自転車を止めたり。
本当なら、「部屋、上がる?」とかの言葉があるべき場面なのに、
抱き締めたい欲求を我慢したくなかったあたしは、
それをとばした。




そう、抱き締めたかった。
その感触で、寺島を確かめたかった。
一週間、ずっとずっと。




でも、抱き締めても、寺島はそこにはいなかった。
いつの日か強く抱き返してくれた、その「何か」はなかった。
確実な瞬間は、寺島があたしの中にいたときだけだった。
確実だから、愛おしかった。






今日は、水曜日。
前までは、メールが頻繁に行き交って、電話もして。
先々週の水曜日は、盛り上がりすぎたから、
次の日の木曜日学校をサボってまで、逢ってた。


先週はそれがなくて、不安になった。
今日はあたしからもせずに。


あたし達って本当。
水のように姿を変える。
短時間に、くるくると。


↑ENPITU VOTE.




「気が向いたらね」って、
抑揚のない声であなたが、曖昧な未来をくれた。
それがどうなるかなんて、
今のあたしは、考えたくもない。

けれど、心のどこかでは、
寺島の心を覗く術をずっと探している。



寺島の行動にはもうさすがについていけないと、
あたしは今思っているけれど、
一番疲れたのは、自分の中のギャップ。
こんなにボロボロでも、あたしは、
寺島に触れたい。
逢いたい。
信じたい。




↑NikkiSite VOTE.




だから乗り越えろ。
独りじゃ、ないだろう。



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