バイト先のバーテンダーの立川さんは、 結婚して子供もいるらしい。 ショック受けてない自分に、ショック。 まだまだ、らしいなぁ。
思い出すのは昨日の夜。 寺島と手をつないで、あちこち歩き回った。 理由は何にせよ、懐かしくて、落ち着いた。
あたし達が一番最初に付き合い出した日のことを、 あなたも思い出してくれたかな。 どこへ行くともなく、ただ歩いて、話をした。 2年が経った今でもそんなことが出来るなんて。 幸せとしか、言いようが無い。
思うことは、たくさんあって。 感じることも、たくさんあって。 わがままを言い出せばキリがなくて。 だけど自分がどうなってでも、 寺島陽介という存在を失いたくなくて。 それだけは、貫きたくて。
だからこれから何があっても、どんなに辛くても、 時が全て浄化してくれることを忘れたくない。 自分の気持ち次第で世界が変わることを忘れたくない。
確かめてから、恐る恐る歩いて、 寺島の匂いのする部屋に、足を踏み入れた。
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