under one umbrella

2004年08月02日(月) 彼女を残し、地球は廻る。


竜崎君とあたしは、まだ付き合いが浅い。
だから竜崎君はあたしのことを、
「あなた」と呼ぶ。




あたしが携帯を変えたことから、
着メロを教え合ってたときだった。
「あなたの着メロはね、これ」
と言って、竜崎君が鳴らした。

ちょっと、ぴんとこなかった。

「 ? ごめんね、わかんない」

「うん、知らないだろうけどね。
『ワールド☆サタデーグラフティ(★★★)』
歌詞が、あなたに合ってる気がするんだ」

「あ、ポルノのアルバムの曲ね?
タイトルは見たことあるけど、あんまりしっかり聴かなかった(笑)」


このときは、歌詞の内容よりも、
この人があたしの着メロを設定してくれてることが嬉しかった。





数日後、ネットの歌詞検索で、
その曲の歌詞を見て、あたしは泣いた。
久しぶりに、自分の涙が湧いた。


――――――――――――――――――――


上海ニハオ LADY そちら空は晴れてごきげんですか
東京ロンリ LADY こちらの彼女 まずい今にも枯れそう
NYハロウ LADY 芝生の上かじる辛いホットドック
彼女を残し地球は廻る


――――――――――――――――――――




あたしが寂しいことに。気づいてくれた。
あたしの時間が止まってることに。気づいてくれた。
どうしてなんだろう。
あたし、そんなに寂しそうな顔してたかな。

でもそれならどうして。
寺島は気づいてくれないのかな。
この歌をくれたのが。
どうして寺島じゃなかったのかな。


いろんな意味で。
涙が止まらなくて。
ありがとうと小さく繰り返した。


ありがとう竜崎君。
君とはもっと仲良くなりたいけど。
ずっと、「あなた」と呼ばれていたい気もする。


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