抱いてくれなくていい。 あなたの胸で泣きたい。
あたしはまだ、外を遠ざけている。 島にいる間、帰りたくて帰りたくて、仕方なかった。 市丸に会いたくて、 何で寺島じゃないんだろうと思ったとき、 市丸はあたしの話を聞いてくれるからだと思った。 そうして笑ってくれるからだと思った。 泣かせてくれるからだと思った。
寺島を支えようとするあたしを支えてくれるのは、 市丸達だから。 彼らに対する感謝ばかり、溜まってく。
でももうそろそろ、限界みたい。 そのうちきっと、 寺島にも会いたくなくなるよ。 市丸にしか、会いたくなくなるよ。 あぁ、あたしも十分病んでいる。
「好き」と言って欲しいなら、あたしを泣かせて。 抱いてくれなくて大丈夫だから。 ただ昔のように、あなたの胸で泣かせて。 昔のように、袖であたしの涙を拭いて。 そうして昔のように、抱き締めて。
愛してくれなくていい。 あなたがそれを出来ないことは、知ってる。
信じられぬと嘆くことは、本当に、こんなにも辛い。 けれど信じて傷つけば、もう信じられない。
どうしてあなたは今更、 あたしに「好きです」なんて言うんだろう。 信じられるわけなんか、ないのに。
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