『無理だ。』 その一言だけの、メールが。 ずしりと、2日間を背負って。
もし、あの4月2日の夜、寺島の口から知らされていたなら。 こんなに怖いわけが無かった。 あたしはあの夜のように、普通に聞き返しただろう。 「なぁに?気になる!早く言ってよ」と。
そして何よりも、 寺島の名前すら出ていないのに、こんなに思い込むこともなかったろう。
何の類の話なのか、市丸からは聞いていない。 ただあたしが、寺島のことかもと思ってるだけ。 いくらそう言い聞かせても。
この2日間の寺島をあたしは知らなかったし、 市丸から寺島の想いを聞いた、 4月2日の夜を思い出さずには、いられなくて。 不安は、消せなくて。
思い切って、聞いてみる。
『無理、って…。寺島の、こと?』
涙がにじむほどに、あたしは。 本当の意味で、安心をした。
そうしてやっぱり。 寺島への気持ちはなくならないと実感する。 やめると決めたはずの、独占欲も。
寺島に、会いたくなった。
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