under one umbrella

2003年11月17日(月) いつもそう。


寺島と宮島は正反対だった。
寺島は自信家で、宮島は謙虚そのもの。
寺島は親のために早く帰って、宮島は自分のために早く帰る。
寺島は好きな人にだけ優しくて、宮島は大抵の人に優しい。
そんな宮島に触れるたび、宮島に惹かれていく感覚を味わっていた。
だけど何故宮島に惹かれるかっていうと。
単に、寺島と反対だから目新しいだけで。
寺島がいなければ、ただの「いい人」なんだと思う。
寺島があたしのなかにいるから、宮島が引き立つのだということ…。
あたしは、否定できない。

あのカラオケ以来離れない『タッチ』のメロディーの「2人」は、
いつのまにやら、寺島になっていた。
カラオケに行って、久しぶりに誰かにときめいたから、
寺島にさよならを言う決心が出来たのに。
なんだか皮肉。
いつもそう。

あたしの携帯の、メール接続画面には、
『優しくなくても、あなたがいい』
とセリフの入ったチューリップの画像が使ってある。
深い意味なんてなかったのに、胸にズキリときた。
最後のやりとりを思い出す。
宮島の言葉と重なって、ひどくあたしの頭に残る。


ねぇ。
気休めなんだと泣くよりかは、
気休めだけどと笑っていてもいいでしょう?
あたしと別れた後も、あたしが落ち込んでいたら、
「笑ってよ」
と言ってくれたでしょう?
落ち込んだ原因は他でもなくあなただったけど、
あなたがあたしの笑顔を望んでくれたことに変わりはなく。
嬉しかったから。笑えたよ。

あたしはもう、あなたを愛していないけど。
まだ、恋はしてるんだと思う。
懲りもせずに。



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