愛するよりも、愛されたい。 そんな言葉を、目にした。 ふっと、過去の恋人が頭をよぎる。
もう、とうの昔に消してしまった日記。 あれを読んだ人が、今もこれを読んでくださってるかわからないけど… もしいらっしゃるなら、わかると思う。
3年前、あたしには圭介という恋人がいた。 ネット恋愛だった。 だから、当時21歳の圭介が、15歳の女の子に、本気でプロポーズしていたのかはわからない。 逢ったこともなく、顔も見たことがない。 常識的に考えればあり得ない。 圭介の愛は、愛の言葉は、冷めるということを知らないようだった。 あたしは浮かれていた。 まさに、「恋に恋して」いた。 愛してなどいないくせに、「愛してる」と口にしていた。 今あの頃の自分に会えるなら、とりあえずひっぱたきたい。
そのうち圭介の愛が重たくなり、悩んだ。 自分が圭介を想っていないこともわかっていた。 歯の浮くようなセリフが、それを言ってくれる存在が、欲しかっただけ。 なんて馬鹿な小娘だろう。それを認めたくもなかった。 逃げた。 圭介とつながっていたのはメールだけ。 そのメールを拒否した。
最低だ。 今書いても吐き気がする。
圭介が本気じゃなかったら、あたしの罪の呵責も軽くなる。 だから、本気だったかどうかわからない、なんて書いた。 だけど、あれは多分本気だったんだと思う。 あたしと出逢った頃、彼は両親を亡くした。 そこで求めていたのは、心の支えだったろう。
今彼がどうしているのか、あたしにはまったくわからない。 連絡のしようがない。 死ぬ気で探せば見つかるのだろうけど、見つけてどうしようと言うのか。 謝りたいなんて甘えは許されない。それはあたしがすっきりしたいだけ。 もう2度と連絡をとらないのが最善で、唯一の方法なんだ。
ただ愛されるというのも、辛いものだ。 愛している人からの愛だからこそ嬉しく、幸せになれるものなんだ。 圭介がいなかったら、あたしはきっと気づけなかっただろう。 ごめんね、圭介。本当にごめんなさい。 でも、ありがとう。 今はあなたの幸せだけを願うよ。 本当に本当に。
寺島があたしを好きだと言ってくれるから、 寺島のことを好きなんじゃないかと、悩んでいた。 だけど最初の言葉と、圭介を思い出して、ああ違うんだとわかった。 本当にそうなら…寺島のことが重荷になるはず。 少なくともそれは違う。 やっぱり…違う。 寺島が好き…。
今日の日記で、気分を害された方がいらしたらごめんなさい。 醜い過去を晒すぶん、事実のままに書きました。
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