under one umbrella

2003年07月04日(金) 「大丈夫。やり直せる」



5月のあの日の後、あたしはずっと、泣きっぱなしだった。
どんなに周りを見ても、寺島の姿はなく、
寺島がいなくても続く日常を、信じることが出来なかった。


疲れきったあたしを襲ったのは、睡魔。
全て捨ててしまえる、もう起きなくていい眠り。
眠りたくて、仕方なかった。

だけど実際問題、方法がないだとか、
寺島が後味悪いだろうとか、そんなことを考えていたくらいだから、
本気でそう思ってたわけじゃないんだろうと思う。
本気ならどんなことだってやるだろうから。


本気までならなかったのは、多分母のおかげだろうと思う。
支離滅裂で、しかも泣きながらのあたしの話を、いつまででも聞いてくれた。
「大丈夫。やり直せる」
と、ずっと励まし続けていてくれた。
そんなことはありえない、とあたしは思っていたけど、その言葉で、
気持ちが救われていたのは事実だ。
母がいなかったら、あたしは感情を抑えきれずに死んでいただろうと本当に思う。
それぐらいあたしは壊れていたから。


今の状態を、1番素直に喜んでいるのは母だと思う。
我が子は勿論だが、寺島のことも気に入っているからだ。
「もうあんた達は戻っているのよ」
と笑顔で言われると、「戻っては無いよ」と訂正する前に、照れてしまう。




寺島とやり直せて、生きていて良かったと思ったけれど、
そもそも生まれてこれたのも、今回生き続けていられたのも、あなたがいてくれたから。
あなたがうつ病で苦しんで、自殺未遂をしたとき、あたしはあんなに怒ったのに、
自分のときは簡単に死を考えたりして、ごめんなさい。
ありがとう、お母さん。
長生きしてね。


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