付き合っていたときは、自然と未来があるように思えてた。 結婚して、子供が生まれて…というような。 1度別れた経験から、あまり強く思い込まないようにしていたものの、 経験の分、そのときが幸せでたまらなかったから、つい考えてしまってた。
「恋人」になることで、またあの頃に戻れる気がした。 あそこまではっきりとは思い浮かべられなくても、今よりかはマシかもしれない、と。 不安でいることが、耐え難かった。
でも、「恋人」でも、その未来の保障はやっぱりないってことは、 今回別れたことで証明できるじゃないの。 未来がないのは、どちらも同じ。 あたしは何寝ぼけてるんだろう。 人生って常に、「一寸先は闇」なのに。
あたしは、幸せな未来が欲しかったんだろう。 それを夢見ることが、大好きだったんだろう。 でもそれは、寺島があたしを好きだと言ってくれることより、大事なの? 言ってくれなきゃ、未来も何もない。 少し前は、その言葉さえあれば何も要らなかったとまで、思っていたのに。
それが本当なら、あたしは、 本当に寺島のことを好きなわけじゃ、ないのかもしれない。 そう思うと、余計に怖くなった。 また寺島を失うようで、怖かった。
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