「…え?別に…何とも」 「あ、そう…」 「いや…それよりも、返信してないのにメールくれたことのほうが、嬉しかったし」 「ああ、そっか(笑)」 「うん(笑)何て答えて欲しかったの?」 「え?いや、別に。その答えで大丈夫だよ」 「ふーん」
本当だった。 メールの言葉は嬉しかったけど、会うこと自体は、何も思わなかった。 嫌だ、とも、嬉しい、とも。 会いたくて会いたくてたまらないってわけじゃ、なかったからだと思う。
だけど彼は、どんどんあたしを途惑わせる。 部屋で、抱き寄せられるのは理解るけど、 その力が、半端じゃなく強いのはどうして? まるで、前みたいに…? 「キス、してくれる?」 遠慮がちにそう聞かれたときは、本当に驚いた。 「キス、したいの?」 聞き返したら、いともあっさりと、 「うん」 って答えられた。 そう言われたら、しないわけにはいかなかった。 長く静かな、キスになった。
あたしは確かに、幸せを感じてた。
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