熱のせいで、少しぼんやりしながらだったけれど。 いつもの会話が進んでいた。
この間と似たような、会話。 小説の話だとか、テストの話だとか。
ふと話題が途切れて。もう帰る時間で。 いつもなら、少しでも引き伸ばそうとしてるとこだけど。 そのときはまた不思議と、さぁ帰らなきゃって思った。 瞬間、 “だけど少し惜しい”そんな本能が頭をかすれて、沈黙を呼んでしまった。
その沈黙が、いけなかったのか? あたしはさっさと帰るべきだったのか? それとも…? それは、今となってはわからないし、どうでもいいけれど。 彼の手が腰に伸びて、抱き寄せられるのを、あたしは拒めなかった。 それだけが真実。
…あーあ。かわいそうに。 存在意義が消されてしまった、あたしの「さよならメール」。
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