風太郎ワールド
アメリカの大学街に住んでいた一時期、いたずら電話がしばしばかかってきた。
ネチネチと話を続けたり何も言わずに切ったり、さんざん振り回される。そこで、どうしたものかと対策を練った。
同じアパートに住んでいたハウスメートの女子学生が一番の被害者で、かなり怯えている。
もう一人のハウスメートは、大学時代レスリングをしていた体重100キロを越すアフリカ系アメリカ人の大学院生。まるでボブ・サップのように威圧感満々だ。
もし、いやがらせ男がドアに現れれば、いくらでも脅しつけられるのだが、顔が見えない電話ではあまり効果がない。
しかし、我が家のボブ・サップには何か秘策でもあるのか、俺に任せておけと言う。そしてある日、たまたま彼が家にいる時に、またいたずら電話がかかって来た。
電話を取った彼は、いきなり早口の英語でまくし立てる。
相手はあわてて電話を切り、もうそれきりかかってくることはなかった。
さすが我がハウスメート。ここでもボブ・サップと同じく、暴力ではなく頭脳を使って敵をやっつけた。
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