風太郎ワールド


2003年04月05日(土) 蛇口をひねらない日

先日、第3回世界水フォーラムが、京都、大阪、滋賀で開催された。それに合わせて京都のNGOが、水の大切さを訴える目的で「蛇口をひねらない日」を設ける計画をしていると、新聞が報道していた。

その日は、水道の蛇口をひねらずに、前日までに汲みおいた水を使うという。もちろん、洗濯も、風呂も、トイレも。

この記事を読んで、阪神大震災の時のことを思い出した。

地震が起こった当時アメリカにいた私は、被災地に住んでいる家族は幸い全員無事だったものの、居ても立ってもいられず、いそいで帰国。伊丹から神戸まで、想像を絶する被害の様子を自分の目に焼き付けながら、ボランティアなどをしていた。

生活インフラ機能が麻痺した被災地を歩いていて、一番困ったのはトイレと飲み水だった。

一日歩き回ったある夕方。懐かしいJR住吉駅の前に立った。駅舎は無残に倒壊していた。その前に一軒の喫茶店。中に人がいる。営業しているようだ。

冬の寒さの中、丸一日歩いて冷えた体を暖め、ついでにトイレにも行きたい。中に入って、コーヒーを頼んだ。

その店では、洗い物を出さないように、すべて紙コップを使っていた。水も、リクエストした人にしか出さない。もちろん、おしぼりもない。

さて、トイレを借りたのはいいが、水が出ない。どこを押しても引いても、何も出ない。困った。

うろうろ周りを見渡しても、分からない。仕方ない。それをそのままにしてトイレを出、マスターを探して、そっと尋ねる。すると、マスター、悪びれた様子もなく、

「あー、水道が復活していないのでね、これですよ」

そう言うと、



    ↑クリックするとメッセージが変わります(ランキング投票ボタン)みごとに流した。そして、こちらを見て、ニッとほほ笑む。

水も電気もないのに、いつもと変わりなく営業しているマスターの笑顔が、とても頼もしかった。


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