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(えもしちより) 

2005年07月26日(火)  訃報

杉浦日向子さんがガンで亡くなったという記事を、昨日読みました。ショックです。司馬遼太郎や藤沢周平が亡くなった時とはまた違ったショック。私にとって彼女は、「さん」づけて読んでしまうほど、親しみのある作家でした。
彼女に初めて遭ったのは、「合葬」という作品でした。何かの記事で彰義隊を扱ったマンガだと読んで興味を持ったのがきっかけでした。実際に読んでみて、想像していたようなものとは全く違ったけれど、その文学的な独特の深さと淡泊さや粋と間がやみつきになって、早い話が「はまって」しまったのでした。
後になって、彼女の作品には「とんでもねえ野郎」や長屋モノのようなコミカルなものもあると知りましたが、そのどちらの作風も大好きでした。文章も好きでよく読みました。のちに東京に繋がっていく江戸という町が生き生きとイメージできて、江戸を愛しているんだなあという感覚が肌身に伝わってきました。
漫画家を廃業すると聞いたときは心から惜しいと思いましたが、それでも文章でまたあの世界を味わえるのだと、その時は思うことができました。今度は本当にこの世から去ってしまった。江戸の、体温の伝わる営みを教えてくれた師匠がいなくなってしまったような、そんな喪失感に、途方に暮れる思いがします。ご冥福を心よりお祈りします。




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