tdd diary

2006年11月15日(水) カポーティ

仕事帰り、日比谷へ。レディースデーで「カポーティ」観る。品良く抑えられた感じの頭の良さそうな感じの脚本と、考え抜かれた感じにセンスのいい映像。フィリップ・シーモア・ホフマンもいちいち上手くて良かった。

作品を書くために取材をしようとする作家と、その取材対象である一家4人を殺した殺人者という関係が、取材をしていくうちに自分がこれまで誰とも分かち合うことがなかった過去と重なるものをお互いが抱えていることを感じ、そこからカポーティの苦悩が始まる。自分の苦しみを共有できる人間だと感じたり、自分の作品の為に相手を利用しているような複雑な感情があったり。例えば人と話していて「この人は自分だ」と感じることなど、一生に一度あるかないかかもしれない。その人の苦しみや闇を自分の中にも見いだせる。でもそこに自分のノンフィクション作品を完成させて世に出したいという冷静な作家の視点も同時に持ち合わせる複雑な心境を、フィリップ・シーモア・ホフマンはとても上手く演じていた。刑務所の中で2人で話しているシーンで印象的だったのは、何度も取材を重ねて自分も同じような過去を持っていると話したことで、2人の関係の何かが変わり、親し気にペリー・スミスから話をされた時のカポーティの苛立った感じのシーン。あくまで取材対象であり犯罪者と見なして接していたはずが、肩を並べて話をしていることにふと気づいて急に苛つき出す。その距離感みたいなものとかが本当に上手いなあと思う。こういうことはこの2人に限らずよくある。とても親しみを感じていた人に急に踏み込まれた感じの事を言われて苛つくようなこと。人と人としての愛憎みたいなものに加えて、作品を書いて成功したい欲や殺人者であるペリー・スミスが死刑になるということが複雑に絡んで、カポーティは苦しみ続ける。カポーティの彼氏役でアトム・エゴヤンの作品によく出てくる人が。あと、スパイク・ジョーンズの作品でいつも出てきて怖い顔って思ってたキャサリン・キーナーがとっても優しい顔のカポーティの友人として出てきて、またとても良かった。


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hatori [mail]