tdd diary

2006年05月31日(水) waiting

一昨日から会社で洋書とかの展示会を今日まで。この展示会の準備でけっこう疲れてたものの、昨日会場でいつもなかなか会えない刺繍の先生と久しぶりにお会いできて、他の人がいなかったので2人で色んな話ができて良かった。今年のフランスのメーカーの新作がすごくアメリカっぽいデザインでがっかりしたって話をしたら、先生が私もそう思ってた!とか。デンマークとかオランダまで離れるとけっこうまだ独自の感じでやってるのが、大きい会社になると世界で売れるものを能率優先で作る感じになるので、どんどんアメリカっぽくなる。フランスとかドイツらしい感じが薄れて、みんな同じ感じになってくるので見ていて世知辛い思いがする。ただそういう大きい会社にはできないことをやっていく小さい会社もフランスにあって、今回はそういうところの本が少し入れられたのでまだ良かった。

手芸をするのに、材料や道具が手に入れられないような不便な状況の時代の方が、よっぽどみんながそれぞれ工夫して限られたものの中から最大限を引き出そうと、いいアイデアが各地であみ出されて生き生きしているような作品を見ることができる。物が溢れて材料が溢れて、何でも買える状況になると、皮肉なことにみんなが与えられたものだけで満足してしまい、フランス人もドイツ人もアメリカ人も、みんな似たりよったりの作品ばかりになって、独創的な作品というのが出てこない。豊かになればなるほど、みんな何も考えなくなる。手芸の世界だけの話じゃなく、何でもできる自由があると、かえって人は何もしない。

そういう時代に人の心をとらえるのは、独創的な作品を作ろうとかいう肩に力の入ったタイプの作品ではなく、本当に好きで少しづつ自分が作りたいものを地道にかたちにしている人の作品だと、ここ最近思う。奇をてらった手法や材料を用いたりせず、好きな素材で簡単な手法でできるもの。世界中の手芸店でセット販売されているような作品よりも、ポルトガルのお婆ちゃんが細い糸から編んだレースや、私の好きなフランスの人が考えた季節の草花や子供の図案の刺繍のほうに豊かさを感じる。シンプルであることがいいとかそういう話でなく、何でもできるなら本当に自分の好きなものをきちんと見つけて、それだけでいいんじゃないかというようなこと。


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hatori [mail]