| 2006年05月10日(水) |
broken flowers |
仕事後、日比谷。レディースデーで「ブロークン・フラワーズ」観る。はじめっからセンスのいい映像を撮る人だった。去年の秋頃のある日、日付けが変わる時刻から朝までかけて「パーマネント・バケーション」、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」、「ダウン・バイ・ロー」を立て続けに観るというジム・ジャームッシュ祭りがスカパーで放送されたのを観た。センスの良さというのはそれだけでも表現に説得力と深みをもたらす大切な才能だ。でも物語り性やそれを通して作者が語りたいものを見い出そうという視点に立った場合、ジム・ジャームッシュの映画の中にはそれらよりも映像の空気感やイメージの連なりみたいなものの方が先に立つ感じがあった。そこがこの人のいいところと思ってもいたんですけど。最後に観たこの人の作品は「テン・ミニッツ・オールダー」だったし、「コーヒー&シガレッツ」は観ていないんですけど、「デッドマン」、「ゴースト・ドッグ」でそういう空気が少しづつ違った感じになってきていたのが、この新作につながってるようにも思えたり。
久しぶりに観た新作でこんなにいい気分になるなんて。ジム・ジャームッシュの映画を観て、こんなヘラヘラ笑った挙げ句にいい気分になっている自分がまず驚きですけども、映像においてのセンスの良さやそれを誰よりも本人が重々自覚自認しています的な空気がストーリーや人物の描写よりも前に出る事はなく、かといってすぐ横にいて、しっかりと全体の空気を覆っている。そしてビル・マーレイがホントに素晴らしい。観ている間ずっと、ビル・マーレイがチャーリー・ブラウンみたいに見えた。1人ひとり訪ねていく昔の恋人たちはそれぞれに強烈な女たちなんだけど、翻弄されない。それでもぎこちなく会話し、だけどやっぱり間が持たない。これビル・マーレイじゃない人が演じていたら全く違う映画になっただろうなあと思ったりします。となりのウィンストンがまた最高で、旅行の日程と地図と異国音楽(ジャケット最高「DON FROM WINSTON」て書いてある)もバッチリと、「エリザベスタウン」のキルスティンのように用意してくれたり。終わりの方に出てくるマーク・ウェーバー(「ストーリーテリング」の子)も良かった。後から知りましたが、ジャームッシュとビル・マーレイは家族ぐるみで仲良しだそうで、本編にビル・マーレイのホントの息子が出てきます。観た時は全く気づかなかったけど。

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