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2007年03月09日(金) 人形の家

昨夜は帰りの遅い夫を待ちながら、昼間買ってきた田辺聖子の日記文学「残花亭日暦 (文庫)」を読んでいた。おっちゃんの死期を悟るあたりで涙が止まらなくなってしまい、おいおい泣いていると夫が帰ってきた。すんすんと鼻を鳴らしながらお帰りと言うと、ただならぬ雰囲気に驚いてどうしたのかと聞く夫。「カモカのおっちゃんが、死んじゃう〜」
感情的な言葉などなく、淡々と、時にニヤリと笑いながら、長年連れ添った連れ合いを見送る。人は、どんな人でも結局は最後壊れて死んでしまうのだなぁ。大いに共感しながら読む。ぬいぐるみがリビングにのさばっているのも好ましい。
でも、うちのぬいぐるみは、勝手に枕を投げ合ったり口々に好き勝手なことを言い出したり、しない。

日付変わって今日は、夕方から日本橋の三井本館で「三井家のおひなさま」展を見る。今年のお節句の頃は懸案事項を抱えてあわただしくしていて、雛あられすら買っていなかった(そういえば節分の時も豆を買い忘れた)。実家に置いたままの段飾りは、お節句と母の書道の大きな出展準備が重なっているので、ここ数年出させてもらえない。3月3日に自宅にある小さな紙雛を出して、翌日しまっただけなので、お雛様の雰囲気を浴びたくなったのだ。
人形もお道具もどれも贅を凝らしたつくりで、戦前の財閥の力を見せつけられた思い。私が持っているような、プラスティックの型抜きのようなものではなく、そのまま道具として使えそうな精巧なもの。人形の着物も錦糸の細かい刺繍などがしてあって、本物をそのまま何分の一かに縮小したようだ。小さな貝桶には蜆のような小さな貝に彩色された貝合わせの貝が入り、小さな衣桁には内掛けがかけられ、鏡台には小さなつげのくしが並んでいる。優雅な時代がそのままそこで止まったかのような空間だった。
その後三越で仕事用のスーツとスカートを購入。スカートは透ける薄い濃紺地に花柄で、裏地にも同じプリントがしてある。つまり花柄が表面と奥とに重なって見える趣向。スーツにも合って便利そう。
その後、異業種交流会。今日は参加人数は少なかったがいろいろ話が弾んで面白かった。

参考サイト:
三井家のおひなさま http://www.mitsui-museum.jp/exhibition_01.html


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