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昨晩成田を発って当日深夜着。というわけで朝からホテルで油条(ヨウティァォ)という揚げパンをわしわし食べながらお粥などをすすっている。そもそも上海に行くことになったのは、夫が「僕、リニアモーターカーに乗ってみたいんだよね〜」と言い出したことに端を発する。何年も前に何度かいただいた大手旅行会社の旅行券をかき集めて、三泊四日(中二日)のフリープランに申し込んだのだ。リニアモーターカーは昼間しか運行していないのだが、日程の都合で夜着朝発の組み合わせになってしまう。これじゃ意味ないのでは?と夫に聞くが、「ううん、別に僕リニアモーターカーに乗らなくてもいいから」という。未だ夫の思考回路がよくわからない。 クーポンが何年も塩漬けになっていたぐらい普段はこの旅行会社とご縁がない(正確に言うと修学旅行以来)。今回はクーポンを一気に使い切ってしまおうと、買い物ゲームのようにホテルとオプショナルツアーを組み合わせ、ホテルは一番低いグレードにして、二日ともオプショナルツアーを申し込む。一日目は上海市内観光。朝ホテルにバスが迎えが来て、いくつかのホテルを回って他の参加者をピックアップしていく。単価の高いお客様を車中でお待たせしないために、だんだんグレードの高いホテルに向かうらしい。おかげでこちらはいろいろと街中の風景を眺めることができて面白い。ぴかぴかの建物があるかと思えば、裏の路地には今にも崩れそうな低い民家が軒を連ねていて、食堂からホカホカとおいしそうな湯気が出ていたりする。通りすがりの公園でちらっと太極拳の集団を見かけた。日曜の朝だ。 全員揃ったところで、バスはまず外灘(わいたん)という地区に向かう。こちら側には租界時代のヨーロッパ風の重厚な建物が立ち並び、川(黄浦江)をはさんで対岸は新興開発地区で未来都市のような超高層ビルの数々が威容を誇っている。上海は地震がないというので、このような建築が可能なのだという。ここは夜景の人気スポットらしい。が、何しろ寒くて風も強い。ここで横断幕をもって集合写真を一枚とって、ほとんど散策せずにバスに戻る。 次は豫園。老街(らおじえ)というふるい町中を抜けて、おみやげ物やさんが立ち並ぶ界隈を通って公園に入る。ここは親孝行の公園なのだという。日曜日なので地元の人も多く、ごった返している。岩山あり池あり、巨岩の裏と表で表情が違っていたり、隙間を許さないようなぎゅっと凝縮された庭園である。寒いながらも紅白の梅が咲いていた。ガイドの説明で建物や奇岩のいわれなどがわかるのはありがたい。が、何しろ時間がないのでここはまたいつか気候のいい時期にのんびりきてみたい。ここでも横断幕をもって記念写真を撮り、またおみやげ物やさんを抜けて小籠包発祥の店というのがあって、大行列していた。ちょっと歩くと物売りが寄ってくる。ガイドさんにはしつこいので関わらないようにと厳しく言われるが、ネパールの物売りにくらべればあっさりしている。 昼食の前に、トイレ休憩を兼ねた中国茶デモ。グループに分かれてカウンターに座り、係りの女性が目の前でさまざまな種類の中国茶を説明しながら入れて試飲させてくれる。その後はお約束のショッピングタイム。かわいい女店員さんたちは当然日本語を話せて、ぴったりと張り付いてくる。前から中国茶用の急須(上からお湯をじゃぶじゃぶかけるタイプ)がほしかったので、かわいい店員さんに手ごろなのを聞いて買うことにする。割高なのかも知れないが、この旅行会社の御用達のところなら品質は確かだろう。 昼食は、「東北料理」の店。どうもちょっと田舎料理らしい。餃子、豆腐、野菜、チャーハン、などなど。あっさりしていておいしかった。われわれはほとんど平らげたが、口に合わないといって残している人も多かった。朝ごはん食べすぎ?他の人たちもみんな穏やかで和やかに食事をする。タバコを吸う人が多くてそれだけは参った。われわれのテーブルは、男女ペア3組、大学生の息子と両親、一人旅の女性、一人旅の男性。一人旅の男性は、いかにも旅なれた雰囲気。なぜこんないかにも日本的なツアーに参加しているのかと思っていたが、小さな旅行会社の人が研修代わりに参加しているそうだ。なるほど。ここで先ほどの集合写真の販売が行われる。2枚で美装ケースに入って1000円。三割ほどの人が購入。 きびきびと行動して次は上海博物館。ここでの所要時間は1時間半(!)で自由行動。このあたりでボツボツと隊列を離れる申し出をする人々が出てくる。上海博物館は、先日東京国立博物館で行われた「書の至宝」展を見てからかなり気になっていたので楽しみにしていたのだが、なんと「書」の部屋は閉室。考えてみたら「書の至宝」展はこの後中国本土に巡回するというし、所蔵作品の目玉は貸し出し中なのか。3月にも「中日書法珍品展」として上海博物館の所蔵品が東京に巡回するらしい。印章、青銅器、少数民族、家具の部屋などを見る。 その後、上海租界の跡地を利用した新天地というエリアへ。おしゃれな洋館と最新流行が組み合わさったホットなスポットらしい。確かに雑貨や洋服、バーなどおしゃれ。ここでの滞在時間は25分(短!)。さらに隊列を離れる人が出てきて、最後は出発時の半分に。25分という短さでは当然集合時間に遅れる人々がいて、寒さに凍えながら待つ。ここからさらにガイドつきのオプショナルツアーの夕食に出かける人もいる。お金出せばすべて至れりつくせり、こうして迷うことなく観光が楽しめるのだな。まあ迷うのが楽しいというのもあるが、つくづく楽チン。 6時前にホテルに戻り、バス車内で注文したお土産の甘栗を受け取り(なんて便利)、身支度を整えて30分後にロビーへ。上海在住の石橋さん(仮名)が迎えに来てくださって、夕食へ。あらかじめ「地元の人が行くようなお店」というリクエストで予約しておいていただいた人気のレストランへ。7時前についたはずなのに超満員。注文から料理の催促(『ちょっと、厨房行って見てきてよ。』などと言って下さっていたらしい)から何から全部お任せして、こちらはひたすらおいしくいただく。さいの目豆腐にピータンや薬味をかけてごま油とおしょうゆをかけたようなものが大変おいしかった(中華風冷奴?)。そのほかに、蟹肉の肉団子スープ、上海蟹肉入りのあんかけそば(蟹をほじらずにおいしく蟹肉が食べられる。まさにおいしいとこどり)、チャーハン、くりぬいたパパイヤの中に蓮の実が入ったデザートなど。観光とはまた違った視点の在住者のお話を興味深く伺ったり、ガイドさんにはいまひとつ通じなかった疑問点などを質問して、あっという間に時間は過ぎ、気がつけばわれわれともう一組後から来た日本人グループしか広い店内に残っていなかった。店を出て、石橋さん(仮名)がタクシーの運転手さんに交渉してくださり、われわれは夜景を楽しみに外灘へ。石橋さん(仮名)とは再会を約してここでお別れ。本当にありがとうございました。 外灘は寒さで空気が冴え渡って、租界側のライトアップされたクラシックな建物も未来漫画に出てきそうな対岸のビル群も、夢のような美しさ。石橋さん(仮名)には『カップルで行くと花売りがやってきますよ』といわれていたが、案の定わらわらと花売りがやってくる。そのほかにも物乞いや、光るおもちゃ売り、ピータン売りもいた。ロマンチックな夜景が売りのエリアで籾殻や粘土にまみれたピータンが売れるとは思えないのだが。帰りに和平飯店(Peace Hotel)のロビーに紛れ込み、歴史あるジャズバンドのライブを盗み聞きして、タクシーに乗って帰ってきた。タクシーが安いのでビックリ。初乗りが10元(1元≒15円)ぐらい。
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