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おそらく最大級でとても混雑が報じられていたゴッホ展、そろそろすいただろうと思って午後出かけてみたらもう会期が終わっていた。間抜け。小林古径展になっていたので、せっかくここまで来たことだしと思って入ることにする。鑑賞客の年齢層は高く、杖をついたよちよち歩きの人とか腰の曲がった人とかだらけだったが、案外みんな男女ペアとか同性同士とか連れと一緒に来ているもので、こうやって年をとっても出かける気持ちや相手があるのはいいなと思う。このようにまとめて小林古径の作品をみるのは初めて。展示はどれも静謐の一言。対象物に向けるまなざしが優しい。幼い子供や小動物の愛らしいこと。玉蜀黍をモチーフにしたものがいくつかあったが、構図は大胆でこのまま夏のワンピースのプリントにでもしたい感じ。膨大な数のスケッチを残した人らしく、何冊もスケッチ帳が展示されていたが、あらゆるものに目を向け、かつ夢中でスケッチしたような、絵に対する情熱が伝わってきた。 美術館に入る前に腹ごしらえと思って、神保町にあるうなぎや「今荘」に入る。ここはかつて私がOLをしていた頃、何度か入ったことがある。その当時からかなり古色蒼然としていたが、もうそれ以上古びようがないのか、そのままの姿でそこにあった。以前はランチタイムは長蛇の列で、相席でどんどん通していたのだが、案外すいていてしかも相席にはしていないようである。しばらく待ってカウンターに座って15年ぶりぐらいで来たことを告げる。「あら、どっか行ってたの?」と言われる。どっか言ってたのは確かだがいちいち説明するのも迷惑だろう。当時はイ(並)とロ(上)の2種類あったのだが、メニューは1800円の肝吸いつきしかない。「昔はイとかロとかあったよね」というと、今年の2月でやめたのだという。「ロで大丈夫?」と聞かれるので「普通のでいいです」と答える。コストパフォーマンスを考えて上だけにしたのだろうか。15年前はイが1400円でロが1600円だったのだからほとんど値上げはしていないに等しい。上でもそこらへんよりずっと安い。お待ちかねのうなぎは程よく油が落ちてしかもふっくら。タレもあっさりしていておいしい。休まず黙々と平らげる。 大満足して美術館へ向かう途中、ふと見知った顔とすれ違う。なんと卒業以来の大学の同級生である。マシンガントークで立ち話をして連絡先を教えてもらい、再会を約して別れる。当時のことが細かいことまでまざまざと思い出されるから不思議。
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