WELLA
DiaryINDEXpastwill


2005年04月12日(火) 憧れのホテルライフ(長文)

めずらしく物見高く開業初日のホテルに泊まりに行った。
オープン記念特別価格でルームチャージが通常価格の半額。飲食店などは初日に行くと何かと不手際が目立つので極力行かないようにしているが、こういう大きなところはどうなのだろうと思って不手際も楽しみのうちだった。ロビーに入るといきなりチェックインに長蛇の列。並ぶこと40分ぐらいか?チェックインは銀行のローン窓口のように対面で座って行うのでその分も時間がかかる。系列ホテルからの応援要員がいるのか、フロアで案内しているスタッフは潤沢で、列に並んでいると時折「大変お待たせしております」とか「申し訳ございません」とかねぎらってくれる。誰一人文句言うでもなく、おとなしく順番を待つ。
夕食はホテル内のレストランで奮発しようと思っていたが、外は雨だしこの分だとレストランは一杯で入れないだろう、とふと思いたつ。行列の脇にコンシェルジュのカウンターがあったので一人並び一人列を抜けてコンシェルジュにレストランの予約について聞きに行く。コンシェルジュがメニューを見せてくれながらあちこち問い合わせてくれるが、案の定どこものきなみ満席。1つだけまだ空きがあるというレストランは、奮発するとはいえ高すぎて入る気にならない。どうしようと思っていると、実はあまり大きな声ではいえないが今日は特別ビュッフェが用意されていて、そちらは7千円でご案内できる、という。各レストランからあぶれた客を吸収するために用意してあるらしい。今のところ1組しか食事していないので、このままチェックインしてからいっても全然問題ないといわれたのでさらにしばらく並んでチェックインをする。またまたねぎらわれながら手続きに入ると、丁寧すぎてこれがまた長蛇に拍車をかけている。「なにがし様、今日は2部屋4名様のご予約ですね」といわれて、目を丸くする。「いいえ、一部屋2人です」というと平然と「わかりました」との答。ネットの予約で2回送信されてしまったのだろうか。これで1部屋無駄になったのでは…というと「いえ、本日は満室ですので少しぐらい余裕があるほうがかえってよろしいんです」という。なるほどぱんぱんに満室だとにっちもさっちもいかないもんね。
チェックインを済ませて部屋に案内してもらう。このホテル、外から見るとちょっと時代遅れと思ったが、最上階まで吹き抜けのホールなど中はすばらしい。内装も明るいのに落ち着いていていい感じ。上層階はエレベータホールからしてカードキーがないと入れない特別ブロックで、私たちが泊まったのは下層のブロックの中では一番上の階。雨にけぶっているがリクエストどおりに窓が向いている部屋に通されて満足。案内してくれた若いボーイさんは緊張しているのかタイミングを計りかねているのか、丁寧に丁寧に動いていてなかなか部屋から出て行ってくれなくて参った。彼に夕食の特別なビュッフェのことを聞いやが彼は知らなかった!そんなに限られた催しなのか。リーサルウェポン?さっそく荷物を置いて最上階にあるビュッフェへ。初めレストランに通されそうになるが、わけを話すと「ああ!あの7千円のビュッフェですね!」と大きな声でご案内。「はい、そうです…」
宴会場に通されるとそこには「夕食会」と看板が…。客は私たちしかいなくて、好きな夜景のところを見られるお席をお試しください、といって何度も席を変わらせてくれるし、何かと世話をやいて、盛大にサービスしてくれる。宴会場を無理やりレストランぽくしました、といった感じのセッティングだがお料理は普段めったに食べられないようなものや美しいものがたくさん並んでいる。席に着くとボーイさんが夜景の説明をしてくれるが、間違っていた。初日だし雨だしね。料理を取ってさあ食べましょうと口に入れた瞬間に「あのーお食事中失礼します、お会計はお部屋付けで…?」などと聞かれて目を白黒させてしまうのもご愛嬌である。ベテランの風格ただようコックさんが何人も居て、統制はとれているけれど会話を聞いているとちょっと他人行儀。多分この人たちも系列ホテルから寄せ集めた応援スタッフなのだろう、みんな客あしらいがうまい。新ホテルのプロパーらしいボーイさんたちの不慣れな接客をさりげなくフォローしていて安心感がある。お料理はどれもおいしく、もう入らないというまでたっぷりと食べた。会場を出ようとすると、案内係が駆け寄ってきた。機敏な動作を心がけているのだろうがいきなり正面から駆け寄られて驚く。動線が把握できていない感じ。支払いを済ませると「手違いでSpecial Lunchとなっておりますが、Dinnerでございます」とレシートを示してくれる。わかりましたと答えてそのまま立っていると「何か?」といわれる。まだ支払いにつかったカードキーを返してくれてもらっていなかったのだ。
部屋に戻って部屋の中を探索。設備は最新だしバスローブもスリッパもふかふか。オープン記念品などがあるかと思ったがなかった。考えてみたら半額なんだからあたりまえか。しかしこの半額にはスタッフの実習費が大分織り込まれているなと思う。半額期間というのはつまり不慣れなスタッフのOJTの場なのだ。半額だったら長蛇の列とか不手際とかも笑って許せるので、初日から正規料金だったらたまらない。
たっぷり休んで朝。曇りだが昨日よりは視界がいい。朝食は通常料金を自腹だが最上階のレストランへ行ってみることに。レストランの前に出ているメニューを見てみると、ここではアメリカンブレックファストのみ。これは高いなぁーと思っていると熟年男性の案内係が近づいてきて、「ただいま込み合っておりまして、ロビー階に洋食のビュッフェをご用意しておりますのでそちらへどうぞ」といわれる。朝食もあぶれた客用にビュッフェが用意されているらしい。言われたところへ向かうとそこはホテル内のジャズバー。ここにも熟年の案内係が居て「上は相当込んでおりましたか」と苦笑交じりに聞いてくる。それだけで気持ちが和む感じ。朝食券を持っていないので、会計を先に済ませる。このホテルは防犯上部屋番号を表に出さない新システムにしているのだが、スタッフはつい「お部屋番号を…」といいかけてしまい、その分どぎまぎしているようだ。気の毒に。奥へ進むと黒を基調とした内装に、朝の光を浴びて輝く朝食たち。こじんまりとしたビュッフェだが、広く浅く次々と目新しいものが出てきて大変結構。これもかなり破格なのだろう。図らずも夜も昼もホテル本来のレストランではないところになってしまったが、食事の内容は充実。
食事を済ませて外に出て、ショッピングモールを冷やかそうとするとまだ開店前。あら〜とか言っていると、ここにも案内の別の熟年男性が居て、開店時間を教えてくれた。そういえば要所要所に案内係の熟年男性の姿が。普段からこんなに人をおいているとは思えないので、この人たちも応援スタッフなのだろうか、彼らがなんともいい緩衝材になっている。たとえばスタッフになにか苦情やネガティブな質問をしたときに、泣き出しそうに顔をしかめて「申し訳ございませ〜ん」などと平謝りになっている若い人が最近増えているが、そうするとこちらが責めているような気分がしてあまりよろしくない。ところがこういう「おじさん」たちは、えぇそうですね、ごもっともごもっともという感じでこちらにシンパシーを示しつつ落ち着いて案内してくれる。なるほど、こういうのがベテランというものか。私が「応援スタッフ」と思っているだけで本当はプロパーなのかも知れないが、こういうベテランをぱぱっと集めて要所要所に配置できるところが、新興ホテルにはないチェーンの強みだと感心した。
部屋に戻って新聞を読む。好きな新聞を入れてくれるというので日K新聞を頼んでおいたのだ。新聞の重要性を感じないし購読料にエロ小説代が含まれているかと思うと腹立たしくて家でとるのをやめてしまったのだが、ひさしぶりに読んでみた。エロ小説は3秒で読み終わる内容だったが、思わず声を立てて笑ってしまう陳腐さだった。私の履歴書はラケット会社の米山さん。私の履歴書はやっぱりいいな。
またまた長蛇の列にならんでチェックアウト。面白い体験だった。


れいこな |MAILBBS