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仕事が終わった後ついふらふらと飲んだり寄り道してしまう人のことを「帰宅困難者」と揶揄したりするが、そんな悠長な話ではない。災害時に交通機関の麻痺などで職場からその日の内に帰宅できない人を「帰宅困難者」という。 新潮社のフォーサイト2月号p77に載っている、インタビュー記事「お父さんは、必ず歩いて帰ってくる」によると、20キロ超の人はすべて帰宅困難者にあたるらしい(歩いて4〜5時間というところか)。この記事でインタビューされている人は、八王子在住で自らを「帰宅難民」と位置づけ、周囲に呼びかけて年に1回の土曜日、新宿にある都庁から自宅まで歩いて帰る催しをしている。新宿から八王子までは40キロ強。JR中央線なら特別快速で36分、京王線特急で36分だが、歩くと8時間かかるという。普段の通勤スタイルと全く同じようにスーツを着て、革靴を履き、ずっしりと重いかばんを持って帰ってくるのだ。 帰宅訓練をするメリットはいくつもあるが、何より、予め帰宅ルートを決めておくことで、途中で行き倒れになっても家族が見つけやすい。自分がどのくらいなら歩けるか、途中でトイレはあるか休憩は出来るか、正しい情報はどうやって手に入れるか、予め検討をつけておくことが出来る。近道するつもりでも道に迷う危険性があるので、幹線道路を行くほうがいいという。都心部では最近幹線道路の不燃化を推進しているので、幹線道路は比較的安全と思われるが、都心部の人がどっと幹線道路にあふれ出すという姿はぞっとする。それと幹線道路を歩いたほうがいいが、ターミナル駅はパニックになるので、幹線道路を通り、かつ駅を通らないルートを探したほうがいい。 歩いて帰る場合、防災用具を携行することも必要である。自宅にそれなりの防災用具を備えている人は多いだろうが、自宅にいる時間帯に災害にあうとは限らない。このインタビューお勧めの「帰宅難民グッズ」は大体こんな感じ。 10円玉12枚(停電でも公衆電話が使えるかも<この半端な枚数はジュースも買えるから??)、軍手、携帯レインコート、ラジオ、懐中電灯(生き埋めになっても助けを呼べるように)、笛、タオル(マスク代わりになる<マスクでもいいのか??)、地図のコピー、ぺティナイフ。当然身分証明書と緊急連絡先もいるだろうな。 さて、道具はともかく、私のように職場が一定していない人間は、どのルートで帰ってくるかは曜日によって違う(ついでに言うと常勤と違って頭数に入っていないので、出勤していないからといって消息を探してくれるわけではない)。それでもいくつかのケースに分けてみよう、と地図とにらめっこして、自宅に直接帰るか、場合によっては親の家にいったん寄るか、などぶつぶつ考えてみる。一方夫は全然本腰を入れずに、「うんうん、そうだねー」とかのん気に相槌を打っている。それじゃ困る!を声を荒げると、「だって、ぼくきっと生き残りそうにない気がするんだよ。きっと『あれ〜』とかいってあっという間にすみっこの方で死んじゃうんだ」と言った。 うーむ。なんとなくそんな気もする。私もあんまり生への執着は強くないから、「まあいいや」とかいってあきらめてしまうようなおそれもある。 けれど、やっぱりそんな心構えじゃ困るのよ。 参考サイト: 八都県市防災対策委員会 帰宅支援情報 http://www.8tokenshi-bousai.jp/
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