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また一週間が始まる。 フランス語教室で一緒だった着物ブティックのマダムが、フランス語学習に専念するために店仕舞いすることになった。御年66歳、お連れ合いを看取り、第三の人生をフランス語での日本文化の啓蒙に充てるのだという。 店仕舞いとなれば、閉店セール。今日が初日で、すべて半額だと言うので顔を見せがてら他のクラスメートと連れ立って夕方出かける。私は強く勧められて、黒っぽい道行コートを買う。クラスメートは中古の絽の着物と帯紐。自分でも気に入ったのだが、いずれもこんなときでもないと買うチャンスがないので、いい機会だった。お店は終わってしまうけれど、個人的にアドバイスをいただけるというので、せっせと実家のタンスの肥やしの写真を撮ってマダムに見せる約束をする。 買い物が終わってから、お店はから程近いアークヒルズでお茶をすることにする。案内板を見るとキハチのケーキ屋さんがはいっているようなので、敷地内をうろうろするがなかなか見つからない。ガードマンに尋ねると、いったん通りに出るような事を言う。半信半疑で教えられた通りに歩いていくと、やはり公道を挟んだ向かい側にある。案内図で見るとここも飛び地で、アークの敷地になっているようだ。クラスメートは子連れで来ているので、気兼ねしないテラス席に座る。大通りには面していないので静かである。それにしても昔はこの辺何があったんだろう。アークヒルズができたのは、いまから20年近く前だが昔から今の場所にあるのは霊南坂教会ぐらいなのだろう。昨日に引き続き森ビルグループの一角にいるわけだが、それにしても強引な都市計画を進める企業である。 マダムの店は発展的解消だが、私たちが住んでいる近所でも、ここに住むと決めてからずいぶん店がなくなった。銀行支店×2、スーパー、コンビニ、銭湯、酒屋、ケーキ屋、魚屋、肉屋×2、ピアノ屋、洋食屋、寿司屋。マンション化など大資本に飲み込まれたものもあれば、集客力がなく崩壊していった個人商店もある。これらの店がなくなってすごく困っているかと言うとあまり困っていない。代替手段はまだまだあるからだ。でも町並みそのものは確実につまらなくなる。
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