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2003年05月30日(金) 文脈依存

アリアドネのMLで「電子ペーパー」という件名のメールが送られてきた。ペーパーという言葉は、本来の紙という意味から派生して論文を差したりするので、てっきり「電子ジャーナル(コンピュータ上で入手できる学術雑誌)」の仲間かと思ったら、文字通り電子的に記録できる紙のようなものだった。最近「電子ジャーナル」について調べていたので、私の頭の中にこの手の文脈が出来上がっていたのだなぁ、と思った。
結婚したばかりの頃、夫が「情報系」という言葉をコンピュータサイエンスを指して使っていたのに違和感を覚えた。考えてみればコンピュータを扱う学問を「情報科学(information science)」と言うのだから、それはそれで正しいのだが、私は結婚退職するまで某都市銀行で「情報系システム」という顧客情報を管理するシステムの部門にいたので、「情報系」といえば「勘定系」に対応する言葉であり、まさかコンピュータそのものを「情報系」というとは思いもよらなかった。このように個々の文脈と言うのは、その個人が属しているコミュニティによって微妙に違い、さらに細分化された文脈が発生してよそ者にはあずかり知れぬ符丁や隠語を生み出していく。
何年も前にちょっと働いたことのある某研究所では、動物実験などが行われていた。他部署からの電話に出ると「小動物の○○です」とか「マウスの××です」というムツゴロウさんが小躍りしそうな名乗りが聞かれたのだが、その話をお友達の民ちゃんにしたら「あたしんとこは、『宇宙』から電話が来ましたよ」といった。彼女が前にいた職場は政府系のシステムを扱っているところで、宇宙開発のシステムを担当していた部署は通称『宇宙』だったらしい。


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