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午後の空き時間にケーブルカーに乗りたいというので、部屋を出てケーブルカー乗り場に行く。街の中心部から15分ほど歩いたところで、前方に赤いケーブルカーが山を上っていくのが見えた。身振りでとにかく山頂までの切符を買う。途中からはロープウエイに乗り換えだという。乗り場にはスノボを抱え青年と、観光客グループが待っている。それから買い物の途中みたいな軽装の女性二人連れが来た。一人は中年、一人は高齢。高齢のご婦人が手提げ袋とストックを持ち、中年の女性がスキーとスキー靴を持っている。どうもこれから一滑りしにいくらしい。時間はとっくに午後1時を回っている。 ケーブルカーは空いていて、林の斜面を抜けて終点までいく。そのあたりはまだ雪はなく、ロープウエイに乗り換えてやっと雪が見えてきた。ロープウエイがついた先はゲレンデとレストハウスになっている。さっきの二人連れとスノボの青年はそこで降りていった。さらに上にいくロープウエイの乗換え口にいくと発車感覚は30分に一本。スキーやスノボを持った人はあまりいない。「ここから先は危険な区域がありますから自分の責任において滑ってください。」というような注意書きがデカデカと掲げられている。危険だからといって立ち入り禁止にはしないのだな。いよいよ山頂にあがる。修学旅行の中学生らしい集団と乗り合わせて姦しい。イギリスからなのか、英語で説明をしているのでついでにいっしょに聞く。外に出たところで人々がざわめいているので覗いて見ると、丁度斜面を滑り降りようとする人がいた。スキー板が2枚やっと並ぶような幅の場所にポン、と板を置き、その上に乗って軽く板をはいたかと思うと、殆ど垂直に見える斜面をあっという間に下っていってしまった。あの人ならどんな斜面でも雪さえあれば降りていってしまうだろう。こちらはちょっとした斜面をあがるのもおっかなびっくりにさらに上がっていき、ふかふかの雪に足元をとらわれながら次のくだりのロープウエイまでの時間をすごす。ここから尾根伝いに周回するスキールートもあるらしい。 山の中腹まで下り、レストハウスで遅めの昼食にする。天気がよく風もないので外のテラスで食べることにした。ときおり雲がかかるが、日が差すとすかさず顔を太陽に向ける人たちが多い。いまどき日光に肌をさらすなんて、と思うが日焼けが身体によい、と信じているのだろう。U字谷の反対側にはジャンプ台や大きなコースが見える。あのあたりがオリンピック会場だろうか。不自然な開発の傷跡のように感じる。 レストハウスの裏手には子供用ゲレンデがあり、親に連れられた子供達が何度も何度も斜面を降りてくる。それにしても街中からこんな近くで、老若男女、初心者者からとんでもない上級者まで気軽にスキーが楽しめるなんて、この土地の人は恵まれていると思う。ずいぶん豊かな人生を送っているものだ。
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