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2001年05月14日(月) なんとなく知らんぷり

今日の日経の夕刊に、「なぜかひき逃げが増加している」という記事が出ていた。
まあそうだろうな、と思う。別にひき逃げ犯が特に凶悪というわけではないだろうけれど、なにか事故を起こしてしまったとき、とりあえず逃げる、というか知らんぷりするのは、今の風潮からすると特に不思議ではない。とっさに反応できないし、逃げたら被害者がどうなるかという想像力に欠けるのかもしれない。

例えば駅で人にぶつかったとき、電車の中で人の足を踏んだとき、とっさに謝れる人がどのくらいいるだろうか。
知らん顔をするのは若い人に限らない。先日のことだが、割と人気のあるラーメン屋に入った。そこは入り口で食券を購入して、水やトッピングのゆで卵などはセルフサービスになっている。券売機の前に行列ができるのだが、いかんせん狭い店内なので通路はいっぱいになる。若い女性が席に座った連れの男性のためにかいがいしく食券を買ったり水を運んだり何度も往復していて、その都度列とテーブルの間を身体をよじって一生懸命すり抜けようとする。「後ろを失礼」と一言発すれば済む話なのに、そういう働きかけをしない。最後尾の中年の女性二人連れは彼女の気配にまったく頓着していない。お互いを物体としか見ていない様子なのだ。
さて私たちが食べ終わって店を出ようとすると、入り口のところで若い女性が通路をふさいで立っている。彼女の目は店内をうつろに見つめていて、目の前に立っている私たちがそこを通ろうとしているのにまったく気が付いていない。「ごめんなさい、ちょっと通してください」というと、驚いたような表情で無言のまま脇へどいた。

相手の気配に鈍感な人が増えているように思う。ひところはウォークマンなどで外界と遮断されているので気配がわからないのだ、といわれていたがヘッドフォンや携帯電話を耳に当てていなくても変わらないような気がする。歩道を猛スピードで走り抜けていく自転車、横断歩道上の歩行者をクラクションで蹴散らす車、自分が生身で歩いていてすら他人を物のように認識している人々が車上の人になったら、それは想像するまでもない。


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