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今日から英語学校は新学期。今度のクラスは前回の持ち上がりだが人数はぐっと減って5人。今日はそのうち私とバカっぽくしゃべる彼女と新しく入ってきた女性の3人。バカっぽくしゃべる彼女は今日は仕事を休んだそうで、遠出帰りのカジュアルな出で立ちでメイクもナチュラル。なんだかとても可愛く思えて初めて仲良くおしゃべりしながら駅まで帰った。 …なんてことを書いたら、もしたまたま彼女がここを読んだら絶対自分のことだってわかっちゃうよな〜と突然心配になった。現に別のクラスで一緒になって友達になった人でここのサイトの存在を知っている人は何人かいるし…。 ネット上の人間関係は、遠く離れた未知の人たちと出会うチャンスばかり強調されているが、案外近くにいる他人に個人情報を流していることには、私も含めて気が回らないようである。ネットの匿名性を利用して、王様の耳はロバの耳とばかりに詳細にいいたい放題のページをたまに見かけるが、まるで近くにはネットにつないでいる人がいないかのように錯覚するのだろうか。見ず知らずの他人でも、近くにいてその行動パターンが符合すれば、個人の特定はたやすいことである。 以前私は、ホンの偶然に見ず知らずのネット上の人物の実物を知ってしまったことがある。あれは私が石川から引っ越してくる直前の夏のことでござった(←日本昔話風)。私は日頃の運動不足を解消すべく、自宅近くにある温水プールに通って水中ウォーキングを日課にしたのだった。同時に、その当時はまだ日記猿人と呼ばれていたリンクサイトから辿って、いくつか日記を拾い読みするのも日課にしていた。 そのプールでは水中ウォーキング用のレーンがある。毎日似たような時間帯に行くので自然と他の歩いている人たちを認識するようになった頃、たまたま読んだ日記に、ダイエットのために水中ウォーキングをしている、と書いてあった。ちょっと親近感を覚えてさらに読み進んでいくと、どうもそのプールの情景が私が知っているそれと酷似している気がしてきた。地名はイニシャルにしてあるが、とりあえず一致する。次の日の日記も、その日行った時間帯やその時のプールの様子などが詳細に書かれていて、それはまさに私が体験したものだった。間違いない。同じプールに通っているのだ。 プールに来ている人の誰がその彼女か、日記の内容から同定するのに難しいことはなかった。自然に「ああ、この人が」と分かってしまったのである。彼女は自分の日記でダイエットを宣言して、毎日体脂肪と体重とその日プールで歩いた距離を表にして載せていた。図らずも私は目の前でせっせと歩いているその彼女のフィジカルデータ、配偶者とのいさかい、娘のできちゃった結婚、彼女の心の葛藤などについて詳細に知ることになってしまった。 これにはさすがに凹んだ。いくら地名や名前を匿しても、読む人が読めば分かってしまう。別に悪意をもったページではないし、こちらも本人を同定できたからといって実際に彼女の本名や住所を知ったわけでもない。結果「見て見ぬふり」を決め込んだのだが、彼女が自分を知る人のない(と信じている)広い世界に向けて心情を吐露しているのに、思いがけずその近くで私がそれを覗き見しているような罪悪感を覚えた。彼女のダイエットがその後どうなったかは私は知らない。
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