WELLA
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2001年02月16日(金) 匂い

いきなりトイレの話で恐縮だが、今朝一番にトイレに入って驚いた。バラの香りがするのである。しかもフレッシュ。そう、私がバレンタインデーにげっとしたあのバラである。バラが活けてあるのは玄関で、そこから気持ちばかりの廊下を突き当たったところにトイレがある。どうもバラの香りは活けてあるところから拡散して、廊下をトンネル効果で渡ってトイレに行ってそこでいきどまったようなのである。
初いやつである。
匂いって確かに行き止まる。私の実家は以前東西に長い木造家屋で、廊下の西の突き当たりに玄関と私の小さい小さい部屋があり、その反対側の突き当たりが台所と食堂だった。学校から帰って玄関をあけると台所からの匂いがして、その日の献立がわかった。鍋物などをして散々居間でくつろいだあと、自分の部屋に戻ると鍋の匂いがこもっていたりすることがあった。
当時の家は窓はサッシではなかったし、ぴゅーぴゅー隙間風が吹いていたのだが、それでも匂いはこもるのである。鉄筋コンクリートでアルミサッシの家ならなおさら匂いは抜けないだろう、と思う。さかんにテレビコマーシャルで芳香剤や消臭剤の必要性を説いているのが納得できたのは、自分が密閉度の高い団地に引っ越してからのことだった。それから都心の賃貸マンションに越し、また新築のマンションに移って、住宅設備は格段によくなったけれど、生活それ自体は外気との接触が減っていくような気がする。匂いがこもったらガラガラと窓を開けて換気をする、というのは過去の話なのだ。今の家には部屋用の換気口がついている。外は道路からの騒音で、そうそう長時間窓をあけていられるものではないし、第一窓は一面にしかないので風が吹き渡るということはない。換気の話だけでなく、窓を開け放って寝るなんてことはこの先数十年ないだろう、と思うと人間として何か大きなものを失ったような気がするのは、大げさだろうか。



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