WELLA
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1999年01月13日(水) Made in UKを求めて

クリスマスが終わるとお待ちかねのセールである。どこのお店もセールは破格の値段だというし、この時期になれば免税も利用できるので、秋口から楽しみに待っていた。
ところがいざセールが始まってみると、驚くほど購買意欲が湧かない。洋服はサイズが合わないので初めから諦めていたのだが、それにしても欲しいものがなさすぎる。

免税というのは、内税として含まれている17.5%の付加価値税(VAT)が、3ヶ月以内に欧州連合(EU)から出る予定があれば店頭で免税申請書類を作ってもらって、出国時の手続後に還付される仕組みである。1年未満の滞在の場合は旅行者免税という区分になって、購入品は手荷物として国外に持って出る必要がある。
以前は現金か小切手のみの返金だったのが、何年か前からクレジットカードの決済口座への振込みも利用できるようになって簡単になった。しかし免税手続きには代行業者が入っていて、店によっては最低購入金額が設定されているし、何%かの手数料がかかるので、相当まとまった額の買い物をしないと手間と書類ばかり増えることになる。
このあたりが矛盾しているのだが、そもそもセールで安いものを買っているので、実は免税のありがたみはあまりなかったりする。かといって免税が効かないものを買う気はしない。

買う気がしないなら買わないに越したことはないのだが、それも寂しいので、自分達の買い物は適当に切り上げて親兄弟・知人へのお土産を調達することにした。
ところが、これまた買うものがないのである。お土産であるからには値が張らず、小ぶりでちょっと粋なものがいい。せっかくイギリスに来たのだからイギリスらしいものを買いたい。
ところが手にとってみるとこれらがほとんどMade in Chinaである。
さらには韓国、タイ、インドネシア、マレーシアあたりだろうか。革製品などはイタリア製も多い。デザインはイギリスなので、イギリスらしいことには変りない。しかも中国製のものはイギリス製より作りがきれいだったりする。
とはいうものの自分達のものならともかく、お土産はやはりイギリス製がいい。しかしMade in UKがとんと見当たらないのである。

これはイギリスの社会問題ともなっていて、多くの企業が経費節減のために工場をどんどん海外に移している。愛するローラアシュレイですらそうである。
日本のローラアシュレイは、従来洋服は日本で縫製していたのだが、ニット類はイギリスからの直輸入で、円高のせいもあって洋服に比べると割安感があった。しかもニットの本場なので仕立てがよく、10年前に買ったスコットランド製のカーディガンは今も健在である。
今回こちらのローラアシュレイでニットを探したのだが、結局Made in ScotlandとMade in UKとなっているものがそれぞれ一枚ずつしか見つからなかった。
これは非常に悲しいことである。いくら安い工賃で質のよいものができたとしても、伝統の力には叶わないのではないか。これではその土地で長い間育まれた技術を彼らから奪ってしまいかねない。
お土産すら、ここで買いたいと思うものは少ないのである。

あとはイギリスらしいお土産といえば、紅茶か。紅茶は消え物だし軽いし好適品である。
こうなったらあまねく紅茶をお土産にするか、と決心してふとわれに帰った。考えてみたら、そもそも紅茶の原産国はインド周辺ではないか。ネパールでも質のよい紅茶を安く大量に買ってきたのだった。イギリスではブレンドとパックだけ、それならパッケージを持って帰ったほうがいいかもしれない。


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