WELLA
DiaryINDEXpastwill


1998年12月31日(木) English Breakfast

最近、イギリス風の朝食にはまっている。
一から十まで本格的というわけには行かないが、かなりそれに近いものを食べている。お箸で食べているところがご愛敬か。

コンチネンタルブレックファストと呼ばれるいわゆるヨーロッパ式の朝食がジュース、紅茶/コーヒー、パンぐらいであるのに対し、イギリスの朝食はたっぷりとしている。
「イギリスでよい食事をしようと思ったら、朝食を3回とればいい」とはサマセット・モームの言葉だと、地球の歩き方には書いてある。まあ、それほどのものではないにしろ、English Breakfastという紅茶もあるし、ちょっとした会話の端からもイギリス人が相当の愛着と自信をもっていることが知れる。

内容はまず、ジュース、コーンフレークス、それから薄切り食パンのトースト。
トーストは対角線で半分に切った三角形で焦げ目がついている。それを専用のトーストたて(食器を立てておくようなもの)に何枚か立ててある。薄さゆえ食べる頃にはもうすでに冷えている。焼き立ての厚切りパンにバターをたっぷり塗って、というのものではないらしい。コーンフレークスは牛乳がおいしければますますおいしい。そして紅茶かコーヒー。

さて、そしてメインである。
ベーコン、ソーセージ、目玉焼き、マッシュルームとトマトの焼いたもの。基本的にはフライパンで焼いたものばかりである。全体的に油っぽい。それから白い豆の煮たものがつく場合もある。

イギリスのベーコンは塩辛い。ベーコンは豚の腹や背のあぶら肉の塩漬けまたは薫製にしたものだというが、するとイギリスのベーコンは塩漬けにしたものなのだろうか。薫製作りを趣味にする人に聞いたところ、本来ベーコンを作るときは薫製にしたあと塩気を抜くというし、一方イギリスのベーコンは塊肉に塩水を注射しているという説もある。とにかくそれを焼いたもの。

次によく焼いたソーセージ。イギリスのソーセージもこれまたけったいなものである。なぜか小麦粉が練り込んであるので、さっとあぶってプリッと食べるなどというものではない。身も細って表面が干からびるほどよく焼いてある。

それから半熟の目玉焼き。

マッシュルームは黒ずむほどよく焼いてある。マッシュルームは火を通すとどんどん味わいが深くなるので可。

そして焼きトマトである。トマトを輪切りにしてただ焼いてある。昔ホームステイ先で焼きグレープフルーツに砂糖をまぶしたものが出てきたことがある。他の家に泊まっていた友達は焼いたトマトが出てきたとこぼしていた。なんと無駄なことをするのかと思ったが、とあるB&Bに泊まって熱々の焼きトマトを食べて以来病みつきになってしまった。熱々のところをはふはふとほおばると、中身はとろとろで噛むごとに中から果汁がじゅわっと染み出てきて口中を満たす。これがもう、アナタ、もう生のトマトなんて、と思うほどのおいしさなのである。

B&BというのはBed&Breakfastの略で文字どおり朝食付きの宿なのだが、客が席についてから注文を聞いて食事を作り始めるような良心的な経営者に当たれば、幸運である。
いくら熱々でも、ホテルのビュッフェのようにいつ調理したのだかわからないような、いつまでもくたくたと熱を加えられているようなものではちっともおいしくない。特にこうしたただ焼くだけの料理は、やはり焼き立てでなくては。

人によって好き嫌いがあるらしく、「私は豆は要らない」などと注文している人もいる。煮豆はほんのりケチャップ味なのだろうか、少し赤い薄いソースで煮てある。うちでは食べていないが、スーパーにも調理済の豆の缶詰を売っている。そのうちこれも病みつきになったら大量に買って帰るのだろうか。うーむ。


れいこな |MAILBBS