WELLA DiaryINDEX|past|will
バザールの道を歩き続ける。商店がぐっと増え、洋服屋や鞄売りが声をかけてくる。 電気屋には、日本ではもうお目にかかれないような古いテレビを売っている。道端に椅子を出して、マリーゴールドの花を糸でつなぐ作業をしている女性がいる。このマリーゴールドの花飾りは町の至るところで見られる。戸口に飾ってあったり、 石像 にかけてあったりする。 道は混雑を極めるが、不思議と殺伐とした雰囲気はしない。あとから知ったことだが、ネパールは「最貧国」とされているらしい。たしかに人々の見なりは貧しいが、顔つきはおだやかである。 途中で竹の笛売りに出会う。何本も笛をさしたねぷたのようなものをかついでいる。面白がって手にとっていると、これはチベットの竹だ、これはインドの竹だ、と似たような横笛や縦笛をどんどん出してくる。そういえば笛売りも英語で話している。生活のために英語を身につける人は多いのだろう。笛売りとやりとりしているうちに人が集まってきた。この日本人は買ってくれる、と思ったのだろうか。束になった首飾りを差し出しニカっと笑う男もいる。 何本か試したが、どの笛もすべて音程がいい加減なことがわかったので、適当なのを一本買った。250ルピーだという。試しに値切ってみるかと思い、200ルピーというとあっさりと値下げした。もしかしたら200ルピーでも高いのかも知れない。代金を支払うと「もう一本どうだ」といってきた。 そんなにいらないってば。 歩き始めると一本の笛をもった小僧がついてくる。この笛を買わないかという。笛はもう買ったからいいというと、執拗に値下げしてくる。200でどうだ、いや、150だ、いい値段だろう。無視して歩いているとずっと後ろからついてくる。100でどうだ、75でもいい。少年が手に持っている笛をみると、我々が買ったのよりずっとしっかりとした細工である。ううむ、これが75か。 とにかくいらないといって、歩き続ける。もういなくなったかと思っていたが、交差点で立ち止まるといつの間にか隣に立っていた。もう有に500メートルは歩いてきたはずだ。ご苦労なことだが、いらないものはいらない。No business? というので、No business!といったらあっけなく引き下がった。たいして効力がない言葉だと思うのだが…。 そういえばここはずいぶん大きな通りだ。縄張が違うのかもしれない。
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