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考えてみると、毎日晩ごはんはホテルで食べていた。 外に出るのが億劫というのもあるし、中の方が安全というのもあるが、ネパールくんだりまで来てそれではあまりに寂しいので、ホテルの外で食事をすることにした。 ホテルの脇の路地で見かけた小さな店に入ることにする。客は現地人ばかり。表の看板はメニューは一応英語があるので、手頃かもしれない。いくら現地に馴染むといっても、やはりいきなり現地化は難しいのであった。 「ナマスティ〜」と言いながら店内に入って行く。たちまち店中の注目を浴びる。店員もとまどっている。日本人は珍しいのか?。 なんとなく気恥ずかしいので、目立たないよう奥まったところのボックス席につく。椅子もテーブルもゴツゴツとして、表面はペトペトしている。壁はむき出しで、調理場にはカーテン代わりの古ぼけたキレがかけてある。冷蔵庫はワンボックスの丸身を帯びた形。全てが古ぼけている。テーブルの上の紙ナプキン入れには、一体いつ入れ替えたかわからないような、くたびれたナプキンが数枚差し込んである。 ウエイトレスに料理を注文しようとすると、そのまますすすっと奥に引込み、代わりにあんちゃんが出て来た。彼は控えめながらとてもフレンドリーな感じがする。注文をとる彼の後方でウエィトレスがじっと見つめている。 私はまた例のごとくチキンとマッシュルームのクリームスープを頼み、夫はビーフンを頼む。それからモモという、シュウマイと餃子の中間のようなチベットの食べ物。飲物はビールとスプライトにする。 このコップが、な〜んか、汚い。 今までの店では、コップを出されても知らぬふりでラッパ飲みをしていたのだが、ここは親切なので、あれよあれよという間にコップにつがれてしまった。あう…。 まあいいか。一度お腹をこわした後だし、免疫できたかも知れないし、もうすぐ日本に帰るんだし、第一ここで拒否したら失礼である。とも洗い、とも洗い…。 味は、まあまあ。納得の味である。 あんちゃんは、遠くから私達が料理を口に運ぶのを見ている。われわれは、店内をキョロキョロと見回し、パクパクと食べゴクゴクと飲む。今日は金曜の夜なので、友達同士で食事をしたりしているらしい。のんびりとした寛いだ雰囲気が店内に漂っている。 それにしても量が多い。二皿食べたところでお腹いっぱいである。ビーフンまでとても食べきれるものではない。おいしいのだが食べきれない。申し訳ない気がする。しかもあんちゃんは食べ残った皿を見て、心配そうな顔をしている。 苦しい。もう食べられない。かなりの量を皿に残したまま引き上げることにした。不安げな顔のあんちゃんに「すごくおいしかった!」と、ニッコリ親指を立てて見せる。さっきのウエィトレスにレジで料金を支払う。安い。「ダンネバッド」と言うと、瞳の奥をのぞき込むような表情で笑った。 上機嫌でぶらぶら歩いてホテルに戻ると、 さっきの披露宴 が終わったところらしい。なんと車寄せのところから敷地の外まで渋滞である。こんなに車が集まるパーティーというのは、やはりすごい。 一休みしようとラウンジに行ってみると、披露宴流れの客で大盛況である。貧富が隣合わせの街、それがカトマンズなのだ。
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