「羊が1匹。羊が2匹。・・・」 私は羊が柵を越えて入っているのを想像しながら頭の中で呟いた。
「・・・羊が9匹。羊が10匹。」 10匹を数え終わり私はお腹の上の紙に「10」と書いた。
もう電気は完全に消していた。 真っ暗で書いた数字を目で確認はできない。 しかし紙の位置を知っていてペンさえを持っていれば数字くらいは書けるはずである。
「10」と書いて一息つき再開。 「羊が11匹。羊が12匹。・・・羊が19匹。羊が20匹。」 「20」と書く。 さらに続けた。
「羊が21匹。羊が22匹。・・・羊が29匹。羊が30匹。」 30匹まできても眠気は初めとほとんど変わらなかった。 このまま1000匹ぐらい行くのではないかと酷く不安に思った。
でもなるようにしかならない。 もし1000匹なら1000匹でもいいじゃないかと思い直した。 メエメエうるさくて逆効果でもこの状況を楽しんでやろうと思い直した。 私はそう腹をくくって再び数え始めた。
次の瞬間に私は寝ていた。 ぐっすり寝ていた。
朝になって起きた。 起きてみて初めて自分が数えている途中で寝たことに気がついた。 おなかの上から落ちていた紙には歪んだ文字で10と20と30の数字が書かれていた。 手から落ちていた黒のハイブリッドはシーツに小さいホクロを作っていた。
−−− 羊を数える 終わり
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