いつもの日記

2001年08月27日(月) 小説6 777

彼女はサンドイッチを2つと生茶と焼きプリンを買った。
僕はそれらを丁寧に一品ずつバーコードスキャナーに通した。

レジを打ちながら横目で彼女を眺めた。
背は高くなくカジュアルな格好の彼女は、どこかしら僕を弾きつける魅力を秘めていた。
彼女は髪が長く少し背の低い女友達と一緒だった。
2人はそれほど見た目は変わらないが、背の高い彼女のほうが僕は気に入った。

「合計4点で777円です」

僕は商品を全て袋に詰めてレジを打ち終わり、合計金額を言った。

「きゃー、見て見て777!」

お気に入りの彼女は背の低い友達を叩いて言った。

「今日絶対なんかいいことあるわ」

気に入った彼女はほんとに無邪気に喜んだ。
そんな彼女を一層僕は気に入った。
みんなが嫌がるレシートを彼女は大切にきっちり受け取って「ありがとう」と言った。
そして、そのレシートを眺めながら店を出ていった。

そんな彼女を去った後を見ながら、自分まで幸せな気分になってしまった僕は、
しばらくの間ポワ〜ンとしていた。

いかんいかん。仕事をせねば。
と思い直した時に、商品が詰められた袋がしっかりとカウンターに居座っている事に気づいた。

僕はすぐにその袋を取って店を飛び出した。
気に入った彼女が777のレシートを気にし過ぎて、買った商品を忘れて行ったのだ。
100mほど走って彼女に追いついた。

「すっすみませんが。わっ忘れてますよ」

僕は息をきらしながら言った。

「あっ、すみません。ありがとうございます」

彼女はくいっと頭を下げて申し訳なさそうに言った。

「でも、さっそくいいことあったわ」


最後のセリフを彼女がどういう意味で言ったのか今でも解らない。
でも解らなくていいんだ。勝手にうぬぼれてしまうのは僕の悪い癖だから。


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