いつもの日記

2001年07月30日(月) 小説

TVでタレントが美味しそうに食べていると、自分も食べたくなるように、
僕は小説を読んでいると書きたくなる。

それは小説中の話をイメージすると同時に、
筆者が書いている状況をイメージしているからだろう。
というわけで小説を書く。ただし短編。まじまじ短短編。

リクルートの人事の人に呼ばれて梅田に行くことになり電車に乗る。
いつもと変わらない風景が僕の前を過ぎていく。
大阪駅に着くまで少しあるから本でも読もうかなと思う。
今読んでいるのは原田宗則の「優しくって少しばか」である。

吹田に着く。少しばかり人が乗ってくる。

長い髪を、穏やかな波のようになびかせながら、
短いタイトスカートの紺のスーツと高いヒールを身に着けた綺麗な女性が、
僕の向かい側の席に座る。

座るやいなや携帯に夢中になっている。彼氏にメールでも打っているのだろうか。
それとも会社に遅れた理由を同期に打っているのだろか。
それは絶対にわからないが、夢中になっているから結構気になる。

そんな携帯に夢中になっていると彼女はタイトスカートだからパンツが見えている。
見えていいのか。見てもよいのか。それはわからないが、とりあえず本を取り出す。

俺の隣に座った40歳ばかりのおやじサラリーマンにも見えているのだろうか。
そんな事を考えていたら、全然小説の内容が頭に入らない。
気になって頭を上げる。
彼女も同時にあたまを上げる。

目が合う。
彼女は目を逸らす。
俺も後で目を逸らす。

そんな事で大阪に着く。彼女は立った。彼女も降りるようだ。
俺もすぐに立ち、さっとそばによって言う。

「すみませんが、パンツ見えてましたよ」

ひるまず彼女はすぐに返す。

「あなたのチャック開いてますよ」

マジで!と思いつつ、カバンでふさがった左手とは別の右手を股間に伸ばす。
確かに正解。やるじゃない。
なにくわぬ顔でチャックを閉める。そして同時にこの話も閉める。


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