| 2001年06月20日(水) |
羊をめぐる冒険 村上春樹 |
JRの忘れ物市で上下巻合わせて百円で買った「羊をめぐる冒険」を今日読み始めた。 その56Pにこういう文があった。
「ファラ・フォーセット・メジャーズの鼻を見るたびに、くしゃみが出る人を知っているわ。 くしゃみってそういう精神的要素が大きいのね。 一度原因と結びついてしまうとなかなか離れなくなってしまうの」
普通の読者なら読み飛ばすところかも知れないが私は大変共感した。 なぜなら私も、そのたぐいの動機でくしゃみをするからだ。
もっとも私はファラ・フォーセット・メジャーズの鼻を見ることが原因ではないが。 それとはちがい私はある事を考えるとくしゃみが出る。
それは昔からずっとで、そのある特定類の事を考えると、いつもくしゃみが出るのだ。 小さい頃にこの性質に気づいた私は、これは誰しも持っている人間の性質だと信じていて、 風邪でもなくくしゃみが出ている人は、そのある特定類のことを考えていると思っていた。
しかしながら、大学の2、3年だったか忘れたが、その事を友達に話すと非常に驚かれた。 だって友達は、そのある特定類のことを考えてもくしゃみなんてしないからだ。 そしてそれは私特有の性質であることを知ったのだ。 これには誰も共感はしなかった。 だから私はそれらを囲われた柵の中に追いやってしまったのだ。
それから3年経った今日、私はいつも心の片隅で探してた共感を見つけた。 それはふと立ち寄ったおもちゃ屋に置いていた求めていたブリキのおもちゃだった。
追伸:断っておくが、そのある特定類のことは何であるかは公表しません。 なぜなら、私がくしゃみをしているところを見られたら私の頭の中も見られてしまうからです。
これに関して他に思うところに、くしゃみは他人がする自分の噂と結びついている。 とよくいわれるが、私は確かになんとなくは解る。たぶん、
「俺って、今頃噂されているんだろうな」
と有頂天に考えるということが、鼻をむずむずさせくしゃみを導いているんだろう。たぶん。
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