本日はリクルートの面接だ。今日で5回目。一対一では2回目。
面接官は言った。
「で、君、本当にリクルートで働けんの?」
穏やかな話の流れの中で、いきなりの直球を俺は受け損なってしまった。 その時の俺の顔はかなり困った顔をしていた。今から思い返してももう仕方ないが。 何とか無理に頭をフル回転させ、俺は答える。
「は、はいぃ、、。リクルートの企画や、編集、などをする業務で、 私の能力は、必ず生きると、思います」
「そんな仕事初めからできないよ」
「はい。わかっています。初めは営業からだとは重々承知です。 営業のバイトをしたこともありますし、営業もできます」
「どんな???」
「家庭教師を家庭から取り付けるバイトです」
「どれくらい?」
「半年ほどです」
「なぜやめたの?」
「研究が忙しくなったというのもありますし、 周りの方々が成績がよかったのもあります」
「ふ〜ん」
「実際に営業のバイトしてみて、 子供が家庭教師をするようにさせるような人を納得させる力は私はあると感じています。 そのような力を私は持っています」
「ふ〜ん」
今回の面接官はいままで出会った面接官の中で一番オーラを発していたし、 かなりの突っ込んだ質問をされる一方で、 このようなスカスカの手応えしか得られない面接を受けていた俺は、 かなり緊張していた。
そして、個人面接では2回目だが、今回は最終かもしれないと俺は思いだしてきた。 緊張のあまり、言葉がしどろもどろになってしまい、何度も
「言っている意味が解んない」
って言われた。
俺はこの状況が辛くなって自分にリラックスさせるのも考えて俺は言った。
「そろそろ選考も佳境に入っていると思われて、かなり緊張しています」
「うん、そうだよ。佳境だよ」
そのごも面接は終始、面接官に転がされている感じだった。
これじゃあ受からないよね。 ほんとに。1週間以内に電話があれば通過だが、まだまだ続くかもしれない長旅に、 集中力が続くかどうかわかんなくなってきて、ボーとしながら電車に乗った。
そして、人が多く込み入った電車だったが、疲れが押し寄せてきていたので、 座る事を俺は高らかに望み、そして座った。 電車の中で面接の事を思い出していた。
「で、君、本当にリクルートで働けんの?」
この言葉が頭の中を反芻していた。たしかにリクルートは厳しい会社だ。 動きも速い。そして、会社の求める結果も早い。 しかしだ、即答で
「はい。働けます。自信はあります」
と答えるべきだったのだ。
「で、君、本当にリクルートで働けんの?」
まだこの言葉が反芻していた。 俺は言うべきであった正解を思わず声に出してしまった。
「はい。働けます。自信はあります」
前に座っていたサラリーマンがいぶかしそうな目で見ていた。
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