昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2005年11月25日(金) 誰か伝えてくれないか

完全にお手あげ状態。途方に暮れる。この気持ちの空漠をいったいどうしたらいいもんだか、もうホンマにわからん。つらいわ。

まあいいや。とりあえず、週間ダイジェスト。

19日(土)。
文楽11月公演、通し狂言『本朝廿四孝』を鑑賞。休憩を入れて10時間、みっちりと。
ガタガタの精神状態で、この長丁場と複雑な人間関係の筋立てについていけるのか不安だったが、幕が上がればちゃんと心は室町時代へ。浄瑠璃はどこか、時空間を忘れさせてくれるところがある。
有名な『十種香の段』と『奥庭狐火の段』を初めて観た。蓑助さんが元気に舞台を飛び回っているのがうれしい。
それにしても八重垣姫は、会ったことも話したこともない男のことを、なぜああもジッと信じて想いつづけることができるのだろう。狐に身を変えるほどに。可憐で一途で、適度に嫉妬深くて、適度にバカ。女はこんなふうでないといけないのかな。わたしも練習しよう。今頃から練習したって無駄か。

20日(日)。
岩屋の美術館に『鴨居怜展』を観に行った。常設展にコーナーを設けて開催している小規模なもので、展示数は19点。この日は「関西文化の日」とかいうのにあたっていたらしく、無料で入場できた。
鴨居怜の絵で好きなのは、舞台装置みたいな背景の色。それから、グテングテンに酔っぱらっている男を描いたもの。酔っても酔っても救われない感じがいい。酒で孤独が減るわけではない、って、キリンジも歌ってる。
ひとりでお酒を飲んで、へこたれてるわたしのことを、鴨居怜のような目線で見てくれている人がどこかにいるとしたら、ずいぶん助かるだろうと思う。

絵を観たあとは、美術館の裏にまわって、海を見ながらドストエフスキー『永遠の夫』を読んだ。
この日は、風が肌をチクチク刺すみたいに冷たくてまるで冬で、凍えるようだった。ふと思い立って、海の見えるベンチに座り寒さに耐えて約1時間、ここで本を読んだら、そしたらきっと「いいこと」がある、と自分に賭けてみた。そして、午後遅くから日暮れまで、海を眺めつつ読書にいそしんだ。前々からうすうす知ってはいたけれど、わたしはちょっと頭がおかしい。
『永遠の夫』が面白かったこともあって、1時間なんてけっこうすぐだった。手がかじかんで、ページをめくるのが難しかったけど。
でも結局、「いいこと」はなかった。ハハハ。笑う。何をやってみても、ダメなものはダメ。

月曜からは、きちんきちんと働いた。祝日の水曜日も出勤した。仕事が煩雑だったことは、余計なことを考えなくてすむから助かった。働いていてよかったと思った。
ドストエフスキーのほかにも、読書はいろいろした。今さらながら『対岸の彼女』を読んだ。今まで読んだ角田光代の中でこれが一番良かった。それから小川洋子の『アンネ・フランクの記憶』とカフカの『城』を再読した。シュルツはチビチビ読んで、今は放置している。
今週はテオ・マセロの『TEO』をよく聴いた。ジョニ・ミッチェルやボブ・ディランも。それから、ABCラジオも。
Ricolaのハーブキャンディが手放せず、お弁当には五目豆と鮭フレークをつめるのが定番で、昼休みに蜜柑をひとつ食べるのもちいさな楽しみだった。週の真ん中で作ったカボチャのカレーは絶品で、でも作り方をもう忘れた。こんなことは、すぐ忘れられるのに。今日はファミリーマートで、新パッケージで少し小粒の「カンロ飴」を買った。さっき、Iちゃんとひとつづつ食べた。

たいしたことではない、たいしたことではない、と自分に言い聞かせるが、わたしはわたしの言葉をなかなか理解してくれない。
いつかここから抜け出せる日がくるかなあ。今度日記を書くときには、脱出できてるといいのにな。


フクダ |MAIL

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