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壱カ月昨日明日


2005年06月17日(金) おばちゃんの引越し

 向かいのおばちゃんが突然引っ越した。朝から家の前を引越センターの人がうろうろしていて、出勤するため家を出たら、おばちゃんの家の玄関ドアがバーンと開け放たれていて、タンスやら冷蔵庫やらが運び出されているところだったので、たいへん驚いた。
 表に立っていろいろ指示をしているおばちゃんに、どこへ引っ越されるんですか、と聞いてみる。「娘のとこ。田舎やけどな、びや湖の近くや」とのこと。「びや湖」の近くとはまた遠いところへ…。「結婚してから、ここも長いこと住んだけど、ひとりではもう広すぎてなあ…」ということらしい。
 私たちが引っ越してきた頃、おばちゃんは旦那さんとふたり暮らしだった。旦那さんは植木いじりと子どもが好きな面白い人で、髪とヒゲは真っ白なのに眉毛だけはまっ黒で、笑うとマーチン・スコセッシにそっくりだったから、私たちは「マーチン」と読んでいた。マーチンは数年前に亡くなった。会社から帰ってきたら、おばちゃんの家の前に「忌」という貼り紙がしてあって、背筋がスーッとした。思い返せば、あれも突然のことだった。
 もう明日から、おばちゃんの毎朝のお経が聞けなくなるのかあ、と思ってみる。案の定、それはけっこうきついことだった。アーアーアーっていう、あの前衛お経。どの神仏を信じておられるのか知らないが、あれはマーチンのためだったんだ、と思う。マーチンが最後を迎えた家を後にするのは、どんな気持ちがするのだろう。
 別れ際おばちゃんに、お元気で、と挨拶したら、一言「じゃあな」と言って、手を振ってくれた。

 
 終日、いろんなことに追われてバタバタ。残業して、帰りは完全に日が沈む頃になった。ずっと会社にこもっていたから天気の実感もあまりない。晴れていたような気もする。
 八百屋で、モロヘイヤ130円、えのき40円、トマト2個160円を買う。夜はテレビで「インビジブル」を観る。ケビン・ベーコンが透明人間になって気まで狂う映画。ポール・バーホーベンが撮る映画は、どうも趣味が悪くて閉口する。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、オクラの梅カツオ和え、海苔佃煮、大根の味噌汁
 昼食:弁当(辛いソーセージ、じゃこ入り卵焼き、ピーマンと人参のバター炒め、ミニトマト、ごはん)
 夕食:豚肉のエノキダケ巻きレタス包み、冷やしトマト、モロヘイヤの胡麻和え、冷ややっこ、麦酒、ちょっとだけごはん


フクダ |MAIL

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