昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2004年06月07日(月) 強靭

 湿気の中にべっとり浸かっているような一日。爽やかさのかけらもない。日暮れ時には3分間ほど激しい夕立があって、私はしばらく九条駅のホームに座って雨をボーッと眺めていた。雨が上がった後、どこからか強い磯の匂いが漂ってきて、湿度がさらに増したような感じがした。

 九条に行ったのは「ヴァンダの部屋」を観るためだ。
 観客は約5〜6名。こんな少人数でみるのはあまりにも、あまりにももったいない。素晴らしい、とでも言えばいいのか、その言葉は何か違う気もするのだけれど、とにかく一言ではちょっと言い表せないような密度の濃い映画であった。

 港千尋はこの映画について『フェルメールに勝るとも劣らない強い親密さがある』と言っていて、それは確かにフェルメールのようでもあるし、壁の汚れやテーブルの乱雑さ、放り出された野菜や果物、窓から入る光線の色や草を揺らす風など、めんめんと続く日常のありふれた風景は、先日姫路で見たワイエスのようでもあった。
 それがたとえ廃墟のようなスラム街での風景であっても、やはり人々の生活というのは強いなあ、と思うのだ。どんな状況下におかれても、例えば明日からの住む場所に汲々とするような時でさえも、人々は世間話にケケケと笑ったり、部屋の模様替えをしたり、ポスターを貼ったり、野菜を売ったり買ったり買わなかったり、日蝕を眺めたりする。切なくなるくらいに強靭だ。
 寝て起きたら朝になっていたからとりあえず今日も生きてやろう、ろくでもない毎日だけど、くたばるまでは人生だからね。

 というわけで、観終ってしばしの間放心状態になるほど、ものすごく感動したのだった。今もまだ余韻が残っているという感じで、映画を見てこんなふうになるのも久しぶりで、それはとても気持ちのよいことだったのだと、あらためて思った。
 
・購入物:「ヴァンダの部屋」パンフレット

・朝食:クロワッサン、オムレツ、バナナ、珈琲
 昼食:カレーパン、レタスとミニトマトのサラダ、ミルクティ
 夕食:外食、かきあげうどん


フクダ |MAIL

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