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2003年08月20日(水) 「風のない日々」

 暑い。暑いよう。
 今日は午後から外回り。暑さが戻った途端に外出の仕事が増えるというのは、悲劇というか何というか。

 移動する電車内と寝る前に、野口富士男の「風のない日々」を読んだ。ホントに「風のない」小説だった。ラストは怖いし。
 主人公の秀夫はいたって真面目な銀行員なんだけど、ただ生きているってだけで覇気が全然ない。妻を迎える時も「家具がひとつ増えるだけ」くらいにしか思わない。アホか。
 妻は妻で、暗くて大人しくて言いたいことも言わないし、「私は運が悪かったのよ」なんて言って二十歳そこそこで人生を諦めてしまっている。実に辛気くさい。
 小説の舞台は昭和初期で、戦前の東京の街や、そこで生活する人々の風俗がリアルに描写されていて、あの頃のなんとも言えない薄暗さがよく伝わってくる。小説の中味より、そっちのほうがずっと面白い。
 何もかも自由には選べない時代の、二人のもどかしさはわかるけどなあ。どうもイマイチのれなかった。
 
 しかし、昭和初期に一般的とされていた女性観から考えると、私のような奴はもうほとんど犯罪者みたいなもんじゃないだろうか。例えば夫が玄関に立ったらすぐ草履を出せ、とか、電車で席が空いたらまず夫に座っていただくように、とか書いてある。へえ、そんなことするくらいなら死んだほうがましだ。

・購入物:なし

・朝食:バターロール、目玉焼き、アイスミルク珈琲
 昼食:ピロシキ、ヨーグルト
 夕食:野菜焼きそばキムチ入り、麦酒
 


フクダ |MAIL

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