昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2003年07月01日(火) 「疑惑」

 ふと寄ってみた阪神百貨店にえらくたくさんの客がいて、何かと思ったら今日からバーゲンだった。ふうん、とのぞいてみるだけのつもりが、魔がさしてシャツを一枚買ってしまった。ああ、衝動買い。

 帰ったら、友人より写真つきの結婚報告ハガキが届いていた。結婚相手の美しさにびっくり仰天。シャルロット・ゲンズブールにちょいと脂肪を注入したみたいな感じで、かわいいというか美人というか。
 コメントに「僕の人生はこれからはじまります」と書いてあった。まだはじまってなかったとは知らなんだ。今までいろいろ散々な目にあったであろう彼であるが、これからはきっと楽しいよ。

 散々な目にあうといえば近松秋江の小説だ。「別れたる妻に送る手紙」の続編「疑惑」を読んだ。
 逃げた妻を追っかける男の話。この人はとにかく追っかけるのが好きだ。「日光に行ったらしい」という情報だけを頼りに、日光中の旅館の宿帳を調べあげる。お金がなくても、嫌味を言われても、全然めげない。妻を探し出すこと、これがこの男の全人生なのだ。ようやく居候していた書生と逃げたことをつきとめ、嫉妬と寂しさに怒り狂い、咽び泣く男。何故妻が逃げたのかということは一切考えない。全く反省しない。すごいよ。
 近松秋江は後年、客観的な社会小説を書きたいと思っていた。「米騒動」を題材にした小説を構想していたが、とうとう1行も進まなかったらしいと、広津和郎が書いていた。社会小説なんか書ける人はいっぱいいるだろうけど、こんな痴情小説を書けるのは絶対近松秋江だけ。ましてや「米騒動」の話なんて、誰も読みたくない、完成しなくてよかったと思う。

・購入物:半袖プリントシャツ(バーゲンで)
     宇野浩二「子を貸し屋」(新潮文庫)古書

・朝食:カレーパン、牛乳
 昼食:冷やしうどん、梅おにぎり
 夕食:タコと九条ねぎの白ワイン蒸し、カボチャの味噌汁、シシトウとじゃこの炒め煮、麦酒、ご飯


フクダ |MAIL

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