昨日・今日・明日
壱カ月|昨日|明日
難波の古書店でテオ・アンゲロプロス「霧の中の風景」のパンフレットを見つけた。大好きな映画。「かもめさん」との別れのシーン、雪のシーン、サンドウィッチを食べるところ、海から大きな手の彫刻が引き上げられる場面やラストの木のシーンなど、心に残る場面がいっぱいある。 弟役の男の子に似ていると言われたことがあって、パンフであらためて見てみたら、なるほど似てるかも。子どもに似ているというのもなあ。
近松秋江「別れた妻に送る手紙」を読んだ。ヘンな小説。 最初は出ていった妻への未練を書いているのだけど、新しい女が出来たら明けても暮れてもその女のことで頭がいっぱい、最後近くはもう手紙の態をなしていない。「拝啓」で始めておいてこの終わり方はないだろう、書いていておかしいと思わないのかな、この人変わってる。 でも、この小説面白かった。妻のいない淋しさをまぎらわすため女と懇意になるのだが、逆にその女にいれあげてしまって、気がまぎれるどころかヤキモキしっぱなしなのがまずおかしい。大切な本を売って女に会う金を作ったり、昔の男のことを問いつめて余計嫉妬に苦しんだり、女の気持ちは商売の域を出ていないのに友だち(正宗白鳥がモデルらしい)と寝た寝ないでもめたり、要するにバカなんである。 私はバカでろくでもない男が好きなのだ。ダメ男とつき合うとしんどいけど、他では得られない面白さが味わえる。この小説にはその趣がある気がする。
・購入物:パンフレット「霧の中の風景」(古書) ポラリス「深呼吸」
・朝食:トースト、珈琲 昼食:梅うどん、いかなごおにぎり 夕食:茄子とピーマンの味噌いため、ほうれん草のゴマ和え、トマトとキュウリとラディッシュのサラダ、麦酒、玄米ご飯
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