ベンツさんとはぼちぼち続いている。 一日一通来る携帯メール。 時々夜メッセで話すこともある。 時々電話をかけてくれて、たわいない話を少しする。
7日が仕事始めだったベンツさん。 「午前中挨拶程度で仕事が終わるから出てこられるか?」と言ってきた。
ベンツさんは決して「逢いたい」とは言わない。 「時間とれそうだけど都合はどうか?」と言うような聞き方をする。 夜、仕事帰りに会いに来るときも「少し出ておいでよ」などと言う。 「会えるといいね」くらいの言い方は使うが、 「逢いたい」という言葉は使わない。
年末年始と体調を崩していた私は、7日のお誘いに気乗りがしなかった。 「風邪ひいているからうつしたら悪いし」と曖昧に答えた。 体調が悪いのは本当だったし、無理して会いたいとも思わなかった。
だけど・・・ 「そんなにしんどいなら仕方ないけど・・・ 俺は逢いたいよ」
「逢いたいよ」の一言が嬉しかった。
私は・・・ 私を求めてくれる人が欲しいのだろう。 愚かだと思われるだろうが 「あすみに逢いたい。あすみを抱きたい。」と言われることに 女としての自分の存在を確認する。 そして安堵するのだ。
結局7日、私はベンツさんに会いに行った。 元気のない私にベンツさんは優しかった。 私を腕に抱き優しく髪を撫でてくれているとき、 嬉しいような悲しいような・・・不思議なキモチになった。
そして、やっぱり寂しい気持ちになった。
それは私がベンツさんのこと好きじゃないから。 抱かれてもいいくらいの好意はあるけど好きだとは思わない。 それでもベンツさんの優しさにつけ込んで 女としての存在を確認するために彼の腕にまとわりつく。 この手を、この暖かい手を、今は離さないで欲しいと願う。
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