Daily Journel@M403



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2002年06月14日(金)    旅先で知り合った人からの便り

帰宅して、ポストを開けると見覚えのない筆跡の1通の手紙。
北海道のYH(ユースホステル)で3泊を共にした女性からでした。

私が泊まっていた4泊の間にYHで一緒になった方は、男女を問わず皆一人旅。
それぞれが昼間は別行動をして、そして夕食に戻ってくると何処を見て回ったか
とか、道内で他には何処に行ったことがあるか、などで話に花を咲かせます。

YHでは、19時からの夕食が済むと、23時の消灯まで団欒室などで皆が思い思いに
過ごします。楽しいメンバーに恵まれると、この4時間が結構あっという間。(笑)
一人で北海道に行くというと、友達も母親も「えぇっ?一人で?」という反応を
するのですが(苦笑)、YHを利用する私にしてみると、別に孤独な一人旅というわけ
ではなくて、危険でもなければ寂しくもなく、むしろ楽しい旅なのです。

とはいえ、いつもいつもメンバーに恵まれるわけでもなければ、お互いの住所を
交換することも最近は少なくなりました。こうして手紙をいただく機会も。

美瑛が好きで何年ぶりかにやってきたという彼女は、宇都宮から来た方でした。
同じ日に同じ電車で美馬牛の駅に着いて、一緒にチェックインをして、それから
3泊を楽しく過ごしました。寝る部屋や昼の行動は別だったけれど。

私より1日早く帰るという最終日、途中で2日だけ借りた駅レンタカーを美瑛駅に
返しに行って、「帰りは1時間くらいかけて歩いて、一度YHに帰ってこようと
思ってるんだ」という彼女。一方の私は、十勝岳からのダウンヒル(MTB)の予定を
入れていたのが、山の方が雨で中止になってしまいました。

その日は、朝からあいにくの曇り空で、次第に雨がポツポツと降ってきて。
当初の予定が無くなり時間が空いたので、前日に借りていたレンタカーで、彼女が
歩くと言っていた道沿いに美瑛駅まで行ってみることにしました。
案の定、傘も差さず小雨の中を歩いている彼女を発見し、車に乗せて残りの時間を
一緒にお茶をしたりして、静かな雨の中まったりと過ごしました。

彼女にとっては、車で迎えに来てくれたことが嬉しいと同時に驚きだったようで、
そのことは手紙の中でも触れられていました。以下、抜粋します。


「美瑛の道を迎えに来てくれた時は本当に驚きました。嬉しかったです。とても。
  こういうのもいいなぁって思いました。
  以前YHで一緒になった人が、『自分が嬉しいと感じたことを、いつか誰かに同じ
  ようにしてあげたい』と言っていました。旅に出ると人の優しさが身に沁みます。
  自分もそんな人になれたらと思います。(中略)
  次に会えるのを楽しみにしています。今度はご家族で歩いているのを見かける
  かもしれませんね。それもいいなぁ。。。それまでお元気で。」


今度はいつ会おうと確固たる約束をするわけでもなく、旅先でほんの一瞬の一時を
共有しただけ。次は、いつ何処で会えるかも分からない。会わないかもしれない。

でも、こうして旅が終わってから手紙という形で気持ちが届くこともあります。
旅の余韻ともいうのでしょうか。心が温かくなる瞬間。私はとても好きです。
自分が旅先で蒔いた種が、発芽して花を咲かせたような感覚に似ています。
今の私は、心理的に参ってしまっているので、余計に身と心に沁みました。

同封されていた写真(シブレットの花)が美しくて、元気を貰った気分。
どうもありがとう。本当にありがとう。





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