MAXIMUM ★ OVERDRIVE
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2003年09月05日(金) ■ |
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第183話「煙草の煙と共に」 |
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長く暗い闇の中で、煙草に火を灯す。
ジッポの火で照らされた煙草の先で燻る火が、なんだか心地良い。
肺の奥まで吸い込み、吐き出された煙草の煙は、
まるで俺の心の中の『暗く澱んだ何か』を一緒に空気中に発散させてくれているようだ。
今、俺の心の奥で、『何か』が侵食し始めている。
自分でも何かわからない。
ただ漠然と『寂しさ』が俺の心の奥で大きくなっていっている。
・・・やはり、一人で過ごす夜は嫌いだ。
仲間達と馬鹿騒ぎしている時が、たまらなく恋しい。
あと半年もすれば、仲間達一人一人が別々の道を歩み始める。
二度と会えなくなるわけじゃない。
・・・でも、寂しさは自ずとやって来る。
学生最後の夏休み。
それももうすぐ終わろうとしている。
仲間達と過ごせる学生生活も、もうすぐ終わる・・・。
そんなことを考えながら、俺はもう一度、新しい煙草に火を点けた。
どうか、お願いです。
寂しさを感じさせないで。
どうか、お願いです。
仲間達と過ごした楽しき日々を忘れませんように。
どうか、お願いです。
煙草の煙と共に、大事な思い出を吐き出させないで・・・。
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