ぽあろの音楽旅日記
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2001年04月17日(火) 第65回 河島英五さんを偲んで

 悲しいことに、二日続けての訃報です。歌手・河島英五さんが48歳の若さで亡くなられました。ちょうど、僕のこの連載でも「僕のカラオケ十八番」で、河島さんの歌を二曲とりあげるつもりでいた矢先です。「いい歌い手」がまた一人、鬼籍に入ってしまわれました。
 僕が河島さんの歌にはじめて触れたのは「飲んで〜飲んで〜飲まれて〜飲んで〜」、の「酒と泪と男と女」でした。はじめ、そのさびの部分の「おもしろみ」に惹かれていたのですが、大人になって歌う機会があったときに、その「おもしろみ」に「かなしみ」の裏打ちがあることに気づきました。あるいはその逆、「かなしみ」を裏打ちする「おもしろみ」にも。人間の喜びと悲しみを優しい目で見つめつづけた河島さんの原点がそこにあるのでしょう。「酒と泪と男と女」、河島さんがこれを世に出したとき、まだ十代だったというから驚きです。
 どこまでもどこまでもかっこいい、そして武骨にあたたかい、ニッポンの新しい理想の父親像として、もっともっと歌って欲しかった。今はただ、安らかに。

☆「時代おくれ」
 僕の憧れの「男」は、まさにこの歌の中にありました。「一日二杯の酒を飲み」「肴は特に拘らず」「マイクがきたなら微笑んで十八番をひとつ歌うだけ」「目立たぬようにはしゃがぬように」「できないことは無理をせず」、どれ一つできていない自分がいます。せめて、河島さんが声を枯らさんばかりに歌い上げていた「人の心を見つめつづける 時代遅れの男になりたい」と今改めて思います。


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